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法人説明会で聞くべき監査法人の実態を暴く10の質問

2017/01/08

architecture-1727807_1920こんにちは。公認会計士GTRです。

監査法人の就活が目前であり、最後の法人説明会が来週行われるので、今回は法人説明会等で行うべき質問について考えてみる。

タイトルは若干大げさな感はあるが、要は監査法人で5年働いた今だからわかる、監査法人の実態を知るための質問ということだ。

 

最初に

まず覚えておいて欲しいのは、基本的に監査法人の説明会などで表に出てくるリクルーターは自分の法人にあなたを入れるためにあなたと話している。完全に中立にアドバイスをくれる人では決してないのだ。

したがって、自分の法人のことはポジティブなことを中心に話すし、他法人のことはネガティブなことを中心に話す可能性が高い。これは前提としてあるので、リクルーターの言うことをそのまま受け止めてはいけない。もちろんすごく親身にアドバイスをくれる人もいるが、やはり基本的には採用目的のイベントなのだ。

法人説明会や各種イベントで直接質問することがあっても、ただ質問しただけでは基本的には良いことしか聞けない。しかし、どこも良いところしか言わず結局違いがわからない。就活生が聞きたいのはむしろその法人の悪い部分ではないだろうか。そこで、質問をするときは工夫する必要がある、というのが今回の記事のテーマだ。

個人的に質問のポイントだと思うのは以下の4つ

  • 質問は必ずその裏を読む
  • ネガティブ情報はポジティブに聞き出す
  • クローズドクエスチョン(YESかNO)ではなくオープンクエスチョンで具体的な回答を求める
  • 入社してから役に立てるためにもこの場を最大限利用する

これを前提に、私がオススメする質問を以下で解説する。

なお、「法人の特徴」とか「部門ごとの魅力」とか、よくあるような質問はあえて扱わない。

 

 

他法人の良いところはどこ?

リクルーターの中に他法人のネガキャン(ネガティブキャンペーン)をしてくる人がいたら聞くと良い質問。

当然ながらどの法人だって良いところもあれば悪いところもある。それはどんな素晴らしい企業だってそうだろう。

そこで、他法人のネガティブな情報に詳しいのであれば、ポジティブな情報についても聞いてみて欲しい。そこでポジティブな情報が全く出てこないのであれば、そいつがしている他法人のネガキャンは、きちんとした法人比較から導き出された情報ではなく、最初から批判ありきで集められた情報だろう。

本当に他法人の情報を集めているのであれば、他法人の悪いところと同じぐらい他法人の良いところについてもあげられるはずだ。

例えば、給料面で言えばトーマツとあずさは相対的に若手のうちは給料が高いがベテランの給料は低い、新日本とあらたはベテランの給料が高いが若手の給料が低いというメリット・デメリットがある。

これがもし「●●法人は給料が安いからやめた方がいいよ」ということを言うやつなら、そいつは悪意しかないクソ野郎か、本当にネガキャン情報しか知らない能無しかのどっちかと言うことだ。

 

 

1番忙しい部署はどこ?

基本的にどこの法人も就活生から「残業が多い」と思われなくない。

どのリクルーターも残業少ないアピールをするはずだ。そして、ひどいところだと自分達のことは棚にあげて他法人の批判をする。

そこで聞きたいのが、法人内での残業の多い部署、少ない部署。他法人との比較では自分達をポジティブに言うに決まっているが、自分の法人内の比較では正直に言うしかないだろう。

もし他法人のことは「あそこは残業が多いからやめた方がいいよ」と言うくせに、自分の法人については「いやー、どこの部署とは一概には言えないなー」と言うやつがいたら、そいつは自分の法人内のことすらきちんとわかっていないのに他法人は残業が多いと決めつけるクソ野郎だと言うことだ。

 

 

残業できないの?

基本的に、こちらがネガティブな情報について質問すると相手は否定のスタンスで来る。そこでネガティブな質問についてはポジティブな聞き方で引き出す。

例えば「残業ってどのぐらいあるんですか?」とか「残業って多いんですか?」という質問に対しては「いや、繁忙期は忙しいけどそれ以外はそんなに忙しくないですよ〜」等と言うのが常套文句。もしかしたらマニュアルでもあるのかもしれない。

要は残業が多いと嫌だなと思われたくないのだ。だから嘘をつくか、やんわり誤魔化されて本当の情報が得られない。

しかし「自分はバリバリ働いて早く成長したいし、残業代もしっかり稼ぎたいと思っているんですが、若手はあまり働かせてくれないって聞きました」と聞けば「いや、そんなことはないよ。俺の時はこれぐらい忙しくて〜」と喜んで話してくれるだろう。たぶん。

 

 

今年の有給はどう過ごした?

ネガティブな情報を引き出す時は直接的に聞かないのもポイントだ。

例えば「有給使えますか?」という質問はYESと言われて終わり。おそらく有給取れなくても「有給はほとんど取れません」と馬鹿正直に答える人はいない。

そこで「今年有給取って何しました?」という聞き方をしてみるといい。YESかNOで答えられる質問ではないので、とっさに嘘をつくのは難しい。本当に有給取れている人だったら旅行に行ったとか具体的な話が出て来るはずだ(別に家でゴロゴロしてたとかでも良いが)。具体的な話が出てこないなら有給取れていないと考えていいだろう。

なお、有給の取れる取れないは本人の努力次第な部分もあるので「人による」とか「年次が上がると取れない」は本当っぽい回答な気がする。私は絶対有給は確保する。

 

残業代はどのぐらい?最大いくら?

給料事情が知りたいならこの質問。同時に残業の多さを知ることもできる。

給料はみんな気になる情報だが、初任給はわかっても残業代を含めた実態というのはなかなかわからない部分がある。しかしリクルーターに直接「あなたの給料はいくらですか?」と聞くのは気がひける。

そこでおすすめなのが残業代の平均と最大を聞くこと。直接年収を聞く訳ではないのでいやらしさもあまりない。例えば「やっぱり監査法人てけっこう給料良いですよね〜」と持ち上げた流れから「残業代って平均で月どれぐらい稼げるんですか?」と悪びれず聞いて見ると良い。

この質問は、残業代が少ないと言えば給料が少ないとみられてしまうが、残業代が多いと言えば残業が多いことを示すので、どっちとも言いづらい。その場で嘘をつこうとしても、じゃあどれぐらいの残業代ならバランスがいいかと咄嗟に考えづらいので、嘘が出にくいと思う。

そして各法人の給与テーブルについては「公認会計士の年収実態調査結果まとめ」に書いてあるので、質問の回答として得られた平均残業代+基本給が月額給与と考えればいいだろう。同時に残業代から残業時間もなんとなく割り出せるだろう。

 

パートナーとどんなことまで話してる?

どの監査法人でもお決まりの文句が「フラットな組織」とか「風通しの良い風土」だろう。

実際私の法人では本当に上に物が言いやすいと思っているが、そうでないところもあるかもしれない。第一、パートナー主導でリクルートを進めているのに誰が風通しが良いと決めているのだろうか。

これもYESかNOでする質問はポジティブな回答しか聞けないので、オープンクエスチョンをする。その時の聞き方も「どれぐらい風通しが良いのですか?」と聞くと「仕事でも自分の意見を主張すればきちんと聞いてもらえる」といった教科書通りの質問がかえってくることだろう。

そこで「パートナーとどんなことまで話すんですか?くだらない話とかもするんですか?」という質問をしてみることをオススメする。本当に風通しが良い組織なら、仕事の話以外に色々なことを雑談していると思うので、色々具体的な話が聞けると思う。あるいは「パートナーと週にどれぐらい話しますか?」という質問もいいかもしれない。

 

非監査って具体的に何をするの?どれぐらいの年次からできるの?

「監査だけでなく非監査にもチャレンジできる」というのは就活生にとって魅力的な言葉だ。そしてどの法人も非監査もできるというのはアピールポイントの一つでもある。

監査法人にいても当然非監査業務はあり、いずれは誰しも非監査もすることになる。それは間違いない。重要なのは、非監査にどれぐらい若いうちからチャレンジさせてもらえるか。

これについては「若いうちから非監査もできる」といったありきたりな回答をされたら「あなたは非監査をされてますか?どれぐらいの年次から非監査に関わらせてもらえますか?」と聞いた方がいい。また、非監査業務の具体的な内容や、月の関与時間、非監査をさせてもらうために具体的にやったこと等をなるべく掘り下げて聞いた方がいい。

その人が本当に非監査をしているのであれば将来自分が非監査をやる上でもとても参考になるし、もしその人が実はほとんど非監査をやっていないのであればその反応からボロが出るだろう。また、もし質問した人が「法人として非監査にチャレンジできる環境はあるが自分は非監査はやっていない」と言った場合は、非監査に関与している中でなるべく若手につないでもらうといい。そこで非監査をやっている若手に繋げてもらえないなら、本当は若手はほとんど非監査をさせてもらえないかもしれない。

 

海外派遣などに行くには具体的に何をする必要がある?

就活において「うちはグローバルに活躍できる環境がある」というのはどこも口を揃えて言うところだろう。実際のところどこが一番グローバルなのかがよくわからないものだ。

海外派遣や駐在に本気で行きたいのであれば「うちは海外にチャレンジする制度が整備されています」という抽象的な言葉を鵜呑みにせず、こうした制度を利用した人に繋いでもらって具体的な話を聞くことを強くオススメする。なるべく若手がいい(といっても海外から帰ってきているのでシニア〜マネージャーぐらいにはなると思うが)。

繋いでもらった上で、海外派遣等についてなるべく詳細に聞き出した方がいい。どの法人に入っても、海外派遣や駐在は人気の制度のため誰でも行けるわけではなあい。実際に海外に行ったことがある人であれば、どのような努力が必要かや、実際に海外に行くためにはどのぐらいライバルがいるのかと行った話を聞き出しておくと後々役に立つ。

例えば以下のようなことを聞くといいだろう。

  • 何年めで海外に行ったのか
  • 何年目から手をあげることができるのか
  • 行く前はどれぐらいから準備したのか
  • TOEICは実際何点ぐらいあれば安心できるのか
  • 毎年何人ぐらいが海外に派遣されるのか
  • ライバルはどれぐらいいるのか
  • 部門によって有利不利はあるのか(まず部門内で選考がある場合競争の多い・少ない部門)
  • 社内政治等はいるのか
  • 面接などの社内の選考プロセスはどうか
  • 実際海外に行ってどうだったか

 

監査法人で活躍するためにしてきたことは何?

これは監査法人の実態を暴くというより、入社してから役立てるための質問だ。

売り手市場な状況でどの監査法人も人の採用にはリソースを割いている。リクルーターとしてイベントに来ているシニアマネージャーやパートナーは、監査法人内でもイケてる出世頭である可能性が高い。(イケてないパートナーが暇だから駆り出されていることもあるので、そこは会話してみて判断する)

せっかくの機会なので、どうやって出世して来たのか、周りと差別化するために何をして来たのかといったことについて根掘り葉掘り聞いてみるのも良いと思う。

入社しても自分の部門のパートナー以外と話す機会はほとんどない。意外と就活の時の方が色々な部門のパートナーと話す機会があったりする。

採用するためにはこちらの要望もかなり聞いてもらえるので、自分が具体的に行きたい部門ややりたい業務を経験しているパートナーの話が聞きたいと言えば必ず繋いでもらえると思う。

 

 

この部門に入るためにはどうすれば良い?

売り手市場な状況で人の取り合いなのは法人間だけでなく、部門間でも起きている。どの部門もいかに自分の部門に優秀な人を採用するかに頭を悩ませていることだろう。

もし入りたい部門がはっきりしているのであれば、そのことを強くアピールした方がいい。とにかくこの部門に入りたい、この部門に入れないなら来る意味がないと熱烈にアピールしよう。

その場で部門の配属を約束はしてくれないかもしれないが、必ず部門側の取りたい候補にはリストアップされるだろう。場合によっては裏で色々取り計らってくれる可能性もある。とにかく、アピールして損はない。

 

 

まとめ

以上、今だからこそ思う法人の実態を聞き出す質問について書いてみた。

私は、基本的に嘘が嫌いだ。1人でも多く人を採用したいのはわかるが、嘘をついたり他法人のネガキャンばかりして人を集めても、入ってみたらギャップが大きすぎて結局監査法人から人が辞める原因になる。

だから就活生のみなさんは正しい情報を収集した上で、正しい判断をしてほしいと思っている。実態がバレて人気がなくなる法人はそれを改善すべきであり、隠して採用しても長期的には業界は良くならないと思う。

 

なお、給料の高さや残業の多さについて聞き出す質問も書いたが、私自身は定時で帰ってそれなりの給料だけもらうという働き方は必ずしも自分の人生にプラスにはならないと思っている。

過度な残業や無駄な残業は改善すべきだが、実際問題としてたくさん仕事をこなした方が成長が早いことは否定できない。若いうちにハードに働いて経験値を上げた方が長期的な人生においてはプラスになることもあるだろう。

そしてプロフェッショナルである以上どうしてもハードに働かなければならない時はある。監査の手を抜いて後から虚偽表示が発見された場合の影響力を考えると、それだけ監査人の責任は重い。時には徹夜したり休日出勤が続くこともあるだろう。

就活生のみなさんは、正しい情報を収集することはもちろん大事だが、目先の利益だけにとらわれず、長い目で見て価値のある選択をして欲しいと思っている。

-監査法人・監査法人就活


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