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公認会計士出身経営者キャリア図鑑~公認会計士から経営者になる道についてまとめてみた~

2017/02/26

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※当ページは公認会計士出身経営者キャリア図鑑のまとめページです。それぞれの市場のまとめは以下のリンク先から参照できます。

 

はじめに

こんにちは。公認会計士GTRです。

このブログを見て頂いている方は公認会計士試験受験生、あるいはこれから公認会計士を目指そうか迷っている方が多いと思う。

みなさんはなぜ公認会計士になりたいのだろうか。

監査法人の高い年収に魅力を感じて?

独立開業したいから?

何か自分に強みをつけたいから?

監査を通じて社会に貢献したいから?

会計というスキルをつけて一般企業で活かすため?

 

 

監査法人で周りを見てても、一生監査法人で働くつもりでいる人は多くはない。

会計士は試験合格後、正式な登録をするまでに実務経験を得る必要があるからまずは監査法人に入る人が多いが、その後会計のスキルを活かして次のステップへ進む人が大部分だ。

公認会計士を目指す人は最終的に何を目指す人が多いのかが気になり、先日ツイッターでアンケートをとってみた。

結果は281票の投票があり、CEO、CFOを目指したいという人が最も多いという結果だった。

要は会社経営に関与したいということだろう。

これは自分で0から起業したいという人も、既にある企業に幹部として引き抜かれることを目指す人も、会計士として一般企業の経理や経営企画等に入り取締役を目指すという人もいるだろう。

 

 

確かに、企業経営に「会計」というのは不可欠な要素であるため、公認会計士の知識は企業経営の場でも役にたつというのは受験時代からよく聞く話ではある。

しかし、本当に公認会計士は企業の経営幹部になる上で有効な資格なのだろうか?

調べてもなかなかデータで示されたものがなかったので自ら分析してみた。

 

前半は、企業経営の場でどれだけの公認会計士が活躍しているのかについて、定量的・客観的に分析してみた。

後半は、公認会計士出身の経営者をデータベース化し、各経営者がどのようなキャリアを進み経営者になったかをまとめた。

なお、情報量が膨大なため、現時点ではマザーズ、東証二部を対象とした分析・データベースとなっている。

今後順次調査を拡大し、いずれは日本の全上場企業の公認会計士出身経営者のデータベースとすることを目指す。

 

 

 

企業経営に関わる公認会計士の数

公認会計士が役員として活躍している上場会社の数

まず、監査法人ではなく企業経営に深く関わる公認会計士はどれぐらいいるのかを調べてみよう。

調べ方としては、上場企業は有価証券報告書で役員の情報を開示しているので、これを利用する。

日本取引所グループの最新の数値で上場会社の数は3,521社。(2016/5/20現在)

市場 企業数
第一部 1,957
第ニ部 542
マザーズ 226
JASDAQスタンダード 739
JASDAQグロース 44
Tokyo Pro Market 13
合計 3,521

引用元:日本証券取引所グループ

 

なお、最初に証券市場について簡単に説明しておく。

  • 日本証券取引所:もともと別々であった東京証券取引所と大阪証券取引所の統合により生まれた日本最大の証券取引所。日本の上場企業のほとんどは日本証券取引所のいずれかの市場に上場している。
  • 第一部:日本の一流企業の集まる市場。多くの企業にとっての憧れ。サッカーで言えばJ1。
  • 第二部:東証一部の条件は厳しく、これを満たせない会社がいるのが二部。一部の要件を満たしていても意図的に二部にいる会社もある。サッカーで言えばJ2。
  • マザーズ:高い成長力を持つ新興企業を対象とした市場で、いわゆるベンチャー企業等が多い。株式上場の入り口。サッカーで言えばJ3?ユース?
  • ジャスダック:基本的にはマザーズと同じ新興企業を対象とした市場。もともとマザーズは東証が、ジャスダックは大証が運営していた。

 

さて、株式市場について簡単に説明したところで、これらの市場に上場する3,521社にでどれぐらい公認会計士が活躍しているかを調査する。

2016/3/31期の有価証券報告書はまだ出てないので、2015/1/1〜2015/12/31の間に決算日のある会社を対象のうち日本証券取引所のいずれかの市場に上場している企業を対象に、役員の状況に「公認会計士」というワードのある会社の数を調べてみたところ1,626社であった。

検索結果の全ての中身を見たわけではないので、厳密な数ではないかもしれないが、これが概ね「役員の中に公認会計士がいる会社数」となるだろう。

(例えば公認会計士ではなく、単に秘書や事務職で「○○公認会計士事務所入所」等の場合は、公認会計士というキーワードでヒットしても公認会計士には該当しないだろうが、そうした例は少ないと想定する)

東証の上場会社数3,521社のうち1,626社ということは、実に46%の上場企業に公認会計士出身の役員がいることになる。

 

 

各市場別に内訳をみると以下の通りとなり、どの市場でも少なくとも4割以上の会社で公認会計士が役員に名を連ねていることになる。

市場 企業数 役員に公認会計士がいる会社 割合
第一部 1957 890 45%
第ニ部 542 235 43%
マザーズ 226 110 49%
JASDAQスタンダード 739 360 49%
JASDAQグロース 44 31 70%
Tokyo Pro Market 13 ? ?
合計 3521 1626 46%

※上記の企業数は2015年5月20日時点の上場会社数であり、役員に公認会計士がいる会社は2015年1月1日〜2015年12月31日までを決算日として有価証券報告書を提出している上場会社数であるため、比較時点に若干の差異がある。

 

なお、出身監査法人別に把握するために、各法人名をキーワードに検索した結果は以下のようになる。

監査法人 人数
新日本有限責任監査法人 377社
有限責任監査法人トーマツ 354社
有限責任あずさ監査法人 314社
PwCあらた監査法人  77社※

 

※PwCあらた監査法人は2015年7月に今の名前になっているため「あらた監査法人」で検索した結果。

やはり三大監査法人出身者が圧倒的に多いようだ。

 

 

会計士出身の取締役がいる会社

上記の通り、公認会計士は企業の役員

但し、役員には取締役と監査役がいる。

冒頭で書いたツイッターでのアンケートはCEOやCFOになりたいという意見であったことを考慮すると、多くの方は監査役ではなく少なくとも取締役を目指していると思う。

そこで、上記のうち取締役の人数を把握してみる。

しかし、役員の中で「公認会計士」をキーワードで検索すると「取締役」と「監査役」が区別できないので、中身を一つづつ見ていく必要がある。

いきなり1,626社全ては見れないので、現時点ではマザーズと東証二部を対象とした調査結果となっている。今後調査対象を拡大するに連れて順次更新していく。

役員の中に公認会計士出身者がいる会社を対象に、有価証券報告書「役員の状況」を全て調査した。

マザーズ上場企業226社のうち役員に公認会計士出身者がいるのは110社。このうち公認会計士出身の取締役がいる会社は38社となり、マザーズ上場企業のうち、16.8%の会社に会計士出身の取締役がいるということがわかった。

東証二部上場企業542社のうち役員に公認会計士出身者がいるのは235社。このうち公認会計士出身の取締役がいる会社は86社となり、東証二部上場企業のうち、15.8%の会社に会計士出身の取締役がいるということがわかった。

 

 

なお、該当する会社は一社に複数の会計士出身取締役がいる会社もあれば、1人が複数社を兼務している例もあり、人数にするとマザーズで44人、東証二部で92人の公認会計士出身取締役がいることになる。

しかし、さらにここで注意すべき点がある。

この中には社外取締役も多くいる。社外取締役は経営者というよりは、監査役と同様ガバナンスを担う第三者的な役割であったり、外部のアドバイザー的な位置づけになり、経営の根幹を担っているとはいいがたい。

そこで、取締役の中から社外取締役を除いて集計する。

すると、公認会計士出身取締役(社外取除く)はマザーズで19人、東証二部で7人であることがわかった。

 

 

これを整理すると以下のようになる。

  東証二部 マザーズ 合計 割合
上場会社数 542社 226社 768社  
役員に公認会計士出身者がいる会社数 235社 110社 345社 45%
うち公認会計士出身の取締役がいる会社数 86社 38社 124社 16%
うち公認会計士出身の取締役の人数 92人 44人 136人  
うち公認会計士出身の社外取を除いた取締役の人数 7人 19人 26人  

 

 

 

 

公認会計士出身経営者キャリア図鑑

上記で公認会計士出身の取締役(社外取を除く)の人数をまとめたが、これらの諸先輩方はどのようなキャリアを築いてきたのだろうか。

同じ公認会計士として経験を積んできた先輩方のキャリアはこれから経営者になりたいと思っている公認会計士や会計士試験受験生がキャリアを構築する上で参考になることは間違いないだろう。

そこで、上場企業の公認会計士出身取締役(社外取を除く)のキャリアを全て紐解いてデータベースを構築したいと思う。これがこの調査の最大の目的でもある。

人数が多くなるので調査結果は市場ごとに記事を分けてまとめることとした。

現在の調査結果はマザーズと東証二部で、下記リンクからそれぞれのページへ飛べる。かなり時間のかかる作業なので、今後順次調査対象は広げていく。

 

公認会計士出身取締役キャリア図鑑〜マザーズ市場編〜

公認会計士出身取締役キャリア図鑑〜東証二部編〜

 

 

 

まとめ ※マザーズ・東証二部分析時点

キャリア図鑑の調査結果について、統計的な観点から情報を整理してみる。

なお、以下はマザーズ上場企業と東証二部上場企業を対象とした分析を行った時点であり、今後調査対象の市場が増えるごとに内容は更新していく。

なおそれぞれの市場のキャリア図鑑ページに細かい内容をコメントしているため、詳細はそちらをご覧頂きたい。

 

 

公認会計士試験合格時期

合格時期は以下のように推定している。
監査法人入所→入所した年、公認会計士登録→登録の3年前。その他インタビュー等から合格年がわかる人はそれも考慮に入れいている。

  東証二部 マザーズ 合計
20代前半 1人 9人 10人
20代後半 2人 6人 8人
30代前半 2人 2人 4人
不明 2人 2人 4人

マザーズでは20代前半が最も多く、ほとんどが20代での合格している。
一方で東証二部では年齢はバラバラといった感じだ。
マザーズと東証二部を比較すると、当然マザーズの方が平均年齢が若いので、公認会計士試験の合格者平均年齢が年々低下していることに起因すると思われる。
マザーズの取締役を見ると在学中合格の方も多そうだが、全体で見れば社会人受験生や、何年もかけてやっと合格した人もいるため、若いうちの合格、短期合格でなくとも取締役になるキャリアに問題はなさそうだ。
30代前半ぐらいから会計士を目指しても遅いということはなさそうだ。

 

 

出身監査法人

複数ある時は最初に入所した監査法人としている

  東証二部 マザーズ 合計
新日本系 1人 1人 2人
トーマツ系 2人 7人 9人
あずさ系 2人 6人 8人
あらた系 0人 0人 0人
中央青山系 0人 1人 1人
監査法人経験なし 2人 4人 6人

トーマツが最も多く9人、次いであずさの8人。
あらたはまだ歴史が浅いので0人なのもわかるが、新日本が法人規模の割に2人しかいないのは驚く。
確かに新日本の企業文化的にもあまりリスクをとる人は多くないのはイメージ通りではある。
そして監査法人の経験のない人も6人いた。
この数値だけで判断するなら、将来経営者になりたいならトーマツかあずさに入る方が確率は上がると言える。
実際監査法人にいるとクライアント関係の会社から引き抜きの話というのは意外とあるので、監査法人選びはけっこう大事かもしれない。

 

 

監査法人勤務期間

最初に入った監査法人を辞めるまでの期間で集計しているが、監査法人から監査法人へ転職している人は合計の年数としている。

  東証二部 マザーズ 合計
1年以内 0人 0人 0人
1年超〜3年以内 0人 0人 0人
3年超〜5年以内 3人 5人 8人
5年超〜10年以内 1人 6人 7人
10年超 1人 3人 4人
監査法人勤務経験なし 2人 5人 7人

意外なことに、3年以内に辞めた人が一人もいない。
よくどんな企業も我慢して3年間は働いてみろというが、まさにそのような結果となっている。
統計的には、経営者になりたいとしても少なくとも3年間は監査法人で経験を積んだ方が良いということが言えるかもしれない。
3年以上勤務すると後はまちまちという感じだが、3年超10年以内でやめている人が多いと言えそうだ。

 

 

取締役になるまでに勤務した会社の数

  東証二部 マザーズ 合計
1社目で取締役 0人 0人 0人
2社目 4人 6人 10人
3社目 2人 6人 8人
4社目 1人 5人 6人
5社目 0人 1人 1人
6社目 0人 0人 0人
7社目 0人 1人 1人

結果を見ると、1社目で取締役になった人はおらず(ほとんどが1社目は監査法人なので当然だが)、2社目が最も多く10人、次いで3社目が8人、4社目が6人と、2社目から4社目に集中している感じだ。
若いうちに新興企業へ転職しポストが空いてるうちに早めに取締役に就任するパターン、監査法人でそれなりに経験を積んで最初から取締役として迎えられるパターン、監査法人の後事業会社を1〜2社経験した上で取締役として迎えられるパターンが多そうだ。

 

 

最初に取締役になった年齢

  東証二部 マザーズ 合計
20代前半 0人 0人 0人
20代後半 1人 4人 5人
30代前半 1人 4人 5人
30代後半 2人 6人 8人
40代前半 0人 3人 3人
40代後半 2人 2人 4人
60代後半 1人 0人 1人

 

20代後半から40代前半まで年齢はけっこうバラけているようだ。一番多いのは30代後半。
やはりマザーズ上場企業では20代後半〜30代前半という若い年齢で取締役になっている人が多い。
中には20代後半で創業社長となる方や65歳で入社する方などかなりキャリアの幅は広いようだ。

 

入社のタイミング

取締役に就任した会社に入社したのはその会社の上場前か上場後か

  東証二部 マザーズ 合計
会社が上場する前 1人 14人 15人
上場済 6人 5人 11人

これはかなり結果が明確に出た。
マザーズ上場企業では圧倒的に上場前の入社が多く、特に上場の2〜3年前に入社している人が多いようだ。
やはり上場というのは会社にとって一つの大きな区切りであり、監査法人でのIPOの経験を見込まれて、上場を目指す会社に招かれる人が多いようだ。
確かに上場前の会社は管理部門が十分でない場合が多いため、自分が0から管理部門を構築することになり、管理系の取締役にはなりやすいだろう。
その分上場前の会社に転職すると、倒産リスクもあるし、給料も上場会社より安いので、リスクもある。
将来性のある会社を見つける目利きの能力も非常に大事なようだ。
東証二部では創業社長である1名を除いて全員が上場後の会社に入社している。
そもそも東証二部の会社は創業も古く、かなり昔から上場している会社も多いため当然といえば当然だ。
上場済みの企業である程度体制も整っているため、ある程度経験を積んだ年齢高めの人が招かれることが多いようだ。

 

保有株式時価平均

  東証二部 マザーズ 合計
1千万未満 6人 6人 12人
1千万超〜5千万未満 0人 7人 7人
5千万超〜1億未満 0人 4人 4人
1億超 1人 2人 3人
平均 174,824千円 72,196千円 99,826千円

これも東証二部とマザーズでかなり明確に結果が分かれた。
マザーズは上場前に入社している人が多く、対価としてストックオプションが発行されていることが多いようだ。
IPOを目指す会社ではそれなりの経理能力を持った管理系の人間が必要になる。
IPO支援業務を経験した会計士は適任だが、上場前の会社では監査法人並みの給料は出せない。そこで代わりにストックオプションで株を付与することで会計士を獲得したりする。
今回集計したのは保有している株数だけだが、マザーズ上場企業は実際はまだ行使されていないストックオプションも相当数持っているものと思われる。上記の数値は倍かそれ以上に膨らむ可能性もある。
また、当然上記の金額は株価の変動で大きく動く。
東証二部の方が平均は高くなっているが、これは東証二部7名のうち1名創業社長がおり、この創業社長が一人で12億分の株を持っているためである。それ以外の方はほとんど株を持っていない。
もしストックオプションによる一攫千金を夢見るなら、給料は低いだろうし、倒産のリスクは相対的に高いが上場前のタイミングで入社する必要がありそうだ。
あるいは自ら起業して上場を目指すという道もあるだろうが、マザーズと東証二部での事例では公認会計士創業社長は1名しかいないようだ。

 

 

 

以上、いかがだっただろうか。

この調査は現時点ではマザーズと東証二部の上場会社のみを対象とした調査結果である。

今後、さらに調査を拡大し、全上場企業を対象としたデータベースを作り、経営者になるためのキャリアについてより正確な統計を作りたいと思う。

ただ、マザーズの226社、19人の取締役を調査するだけで相当の時間がかかったため、上場の全3500社となるとけっこう気が遠くなる作業なのだ。従って全上場企業を対象とした調査がコンプリートできるのはそれなりに時間がかかるかもしれないが、なんとかやり遂げたいと思っている。

それぞれの市場のまとめは以下のリンク先から参照できる。

 


 

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-公認会計士キャリア論


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