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会計士キャリアインタビュー①〜会計✕英語で作るキャリア〜

 

今回は私の話しではなく、私の周りの会計士へのインタビューから、会計士のキャリア事例について考えてみる。

今回は英語をバリバリ使いこなす国際派会計士のAさん(匿名)。

会計✕英語を武器に活躍するためにAさんがやったこと等を聞いてみた。

 

Aさんについて

Aさんは四大監査法人に勤務する会計士。

大学卒業後会計士試験に合格し、20代前半で監査法人に入所した。

TOEIC900点台後半。英語をバリバリつかいこなし、スタッフの時に2ヶ月間の短期派遣も経験している。

英語の使用頻度としては、英語を話す機会は多くはないが、メール等読み書きでは毎日使う。

海外出張は年3〜4回ぐらい。子会社の内部統制往査が多い。

 

会計士を目指そうと思った理由

Aさんは子供の頃から英語が好きだったこともあり上位私大の外国語学科に入学。将来は通訳のような語学を使う仕事か、国連のような国際機関で働きたいと考えていた。

そんなAさんが会計士を目指そうと思ったのは、大学の時に簿記を勉強したことがきっかけ。

大学1年のときに、先輩から就活のために簿記を進められ、独学で簿記二級までを取得した。

その勉強している過程で会計士という仕事を知り、また今後IFRS導入の流れがあるが、会計士は英語がデキる人があまりいないということを聞いた。

 

外国語学科だったため英語ができる先輩やOB・OGはたくさんいたが、大企業では海外駐在等はポストも限られており、優秀な先輩でも順番待ちで、能力があるから必ずそのスキルを活かせるというわけでもないという現実を知った。

英語ができてもきちんと自分のスキルを活かせる環境に行かないとその能力を活かせないということを感じた。

 

また、Aさんは英語は得意科目ではあったが長期の留学経験があるわけでもない。一方で大学の外国語学科には帰国子女が多く、英語だけを武器にすることに限界を感じた。

一方で会計は勉強した分だけ実力がつくし、帰国子女のように圧倒的にアドバンテージを持った人もいないため、努力が成果に結びつきやすい。

 

そこで会計✕英語を強みとするために、既にあった英語のスキルに加えて会計士を目指すことを決めた。

 

受験時代

学習スタイル

外国語学科であったAさんは、周りに勉強している人がいなかった。

予備校は入ったものの、周りの人間関係がめんどくさく、あまり予備校には行かず基本的には一人で勉強をしたそうだ。

(ベテラン勢が偉そうで自分のアドバイスを押し付けてきたり、足の引っ張り合いがあったりといった人間関係が煩わしかった)

授業は途中からは音声で、あまり教室での授業は受けなかった。

2年目で合格し、予備校は1年目の大手予備校から、2年目はLECに変えた。

 

LECの良さ

最終的にLECで合格したAさん。

とにかく全パターンを網羅して高速で回すのが得意だったAさんは、LECの教材が非常に細かい点が合っていた。

ただしこれは向き不向きの話しで、LECが特別良いというわけではなく、自分に合っていたかどうかが大事だという。

また、LEC講師の池邉宗行先生、渡辺克己先生の講義はやはり良かったという。(両講師とも2017年に東京CPAに移籍)

 

学習で意識したこと

短答や論文のタイミングから、いつまでに勉強を完成させるかの長期スケジュールを決め、そのためにどの教材を何回回すかなどを細かく設定。それを日次レベルの予定に落としてこなしていたそうだ。

また、忘却曲線を意識し、一度解いた問題を再度解くタイミングを細かく設定した。

Aさんの独特の取り組みとして、自分のモチベーションをコントロールするために、自分の勉強時間を全て時給に換算して、貯金を貯めるような独自のゲームをしていたそうだ。

(基本時給1000円、苦手な管理は時給1.5倍、答練の点が良かったらボーナス等)

 

 

監査法人で英語を活かすためにやったこと

就活時

就活での立ち回りは入社後にも影響する。

説明会のときから力のあるパートナーを見つけたらきちんと顔を売っておくことが大事。

面接の時から超アピールし、上位のパートナーとの面接でやりたいことをしっかり伝えるようにした。

内定が出た時にはジョブまで決まっていたそうだ。

就活中は色々な先輩に話しを聞くチャンスなので、海外派遣や海外駐在の現実を聞いたことがその後自分のキャリアを築く上でも役に立った。

 

入社後

自分の英語力を武器にするために、あえて国際部門には行かず、むしろ英語ができる人が少ない部署を選んだ。

そのために、事前に各部署の先輩にどのぐらい英語を使う機会があるかを確認し、英語を使うクライアントが多いが、英語ができる人が少ない部署を狙った。

要は需要に対し供給が不足しているところをうまく狙ったということだ。

英語で仕事をしたことはなかったが、監査が一人前になってから英語をやろうという悠長なことは考えず、最初から積極的に英語ジョブに手を上げてアサインされるようにし、どんなに忙しいときでも英語の業務は引き受けるようにした。

逆に、誰でもできる案件はなるべくスルーするようにした。そうこうしていると、気づけば英語ジョブだけとなっていた。

また、入った部署に英語ができる人が少なかったこともあり、主任に代わって海外ファームとの窓口になったり、1年目から通訳的な役割でパートナーと社長のミーティングに同席したりとチャンスは多かった。

 

海外派遣に行くためにやったこと・やるべきこと

短期の海外派遣(2ヶ月程度)は何回か応募しないとダメと言われたので、応募可能な年次になったらすぐに応募した。

(行ける席数に対して希望者が多いため、応募してもすぐに行けるわけではない)

海外派遣は会社のお金を使って従業員に経験をさせにいくものなので、「なぜ自分が、このタイミングで海外に行くべきであり、それが将来法人にとってどういうリターンになるか」を面接等できちんと説明した。

具体的には、

  • これまでこういう英語関係の仕事をしてきたので、現地に行って活躍できる自信がある。
  • 一方で、今自分に不足している能力が何で、そのためには海外でどういう経験が必要なのか。それを日本に戻ってどう活かすか。
  • 現地ファームにどのようなメリットを与えられるか

といったこと。

Aさんの法人では「海外に行きたい」という声はきちんと受け止めてもらえるが、希望者も多いためライバルに勝つための工夫は当然重要になる。

TOEICの点数は800点程度は必要だが、TOEICの点数が高ければそれだけ有利かというとそうでもないという。

ある程度英語ができるのであれば、むしろ度胸、コミュ力、マネジメント力、基本的な監査のスキル等の方が重要。

要は「日本できちんと仕事ができるやつ」であることが大事だという。

 

海外派遣の経験

アメリカの日本人がいないエリアのファームだった。

日本人がいないなかで全て自分でコミュニケーションをとるのはいい経験だった。

なめられないようにしようと思い、日本人は主張が苦手だが、きちんと主張をするようにしたり、自分の考えを説明した上で質問した。

あとは「sorry」を言わないことが重要。「sorry 」と言いたくなったら「thank you 」と言う。

 

あとは自分なりのバリューを出すために、現地のチームで不足している役回りをしっかり意識して、それを自分がいかに埋めるかを考えた。

具体的には、そのチームでは若手が多く、インチャージ以外に現場の全体感を持っている人が少なかったので、自分がそれをサポートできるように動いた。

特に現地では日本と比べOJTが熱心でなく、「なぜこれをやるのか」を説明せず、仕事だけを指示する傾向があったので、Aさんは現地のインターン生や若手スタッフに積極的にOJTをするように意識した。

単に自分が勉強しに行くだけではなく、日本での経験から現地で自分が提供できる付加価値は何かをしっかり意識し、きちんと戦力になることは大事だという。

Aさんはその後長期の駐在には行かなかったが、短期派遣における現地パートナーの評価は日本の上司にも報告されるので、海外駐在等その後のキャリアに繋げるためには特に重要だ。

 

日本と海外の違いとしては、アメリカとイギリスはドキュメンテーションがかなり膨大で、本質的なところは意外と日本の方がきちんとできていると感じた。向こうは訴訟文化なのでドキュメンテーションは非常に慎重だという。

また、同じグループのメンバーファームであれば、マニュアルも一緒だし、ツールも一緒だし、監査調書の作り方も一緒なので、日本できちんと監査をやっておけば海外でも同じ要領で問題なく仕事はできる。

 

監査法人で英語を使って活躍する道

監査法人内で英語を活かして監査をやる上での方向性は大きく2つ。

①外資企業の日本子会社

②海外展開している日本企業の監査

 

外資企業の日本子会社の監査は、若手のうちは学べることが非常に多いが、結局は海外ファームからの指示を受けて動くだけなので、長期的には面白さに欠けると感じた。

一方、日本企業の海外展開は、リスクも高く、各国の基準や法制度の理解も必要になりパートナークラスになると非常に大変だと感じた。若い内は海外出張は楽しいが、パートナークラスで毎週のように海外を飛び回るのは体力的にもかなりハードだ。

また、海外上場を目指す企業は、日本の市場で上場できないので海外を目指す会社もあり、そういう会社は大変なことが多い。

英語ができるパートナーは貴重だが、仕事がハードになりがちなので、監査✕英語で上を目指すのであればそのあたりは覚悟が必要だと感じたという。

 

まとめ

以上。初の試みとしてAさんのキャリアについてインタビューした内容をまとめてみた。

Aさんの話を聞いて感じたことは、

  • 会計に加えて英語ができることは強みだが、それをうまく活かすためには色々工夫は必要
  • 監査法人で海外で活躍する道はそれなりにハード
  • 海外で活躍できるために英語力はもちろん必要だが、日本できちんと仕事ができることも当然重要

といったこと。

なお、Aさんのキャリアについて質問があればコメント欄に記載頂ければ本人に確認して回答します。

また「こんなキャリアの人の話しが聞きたい」という要望があれば、それもコメント欄に記入頂ければ、インタビューして記事に上げたいと思う。

 

-公認会計士キャリア論


 comment
  1. ロン より:

    こんにちは。
    いつもブログ拝見させていただいております。
    18年度合格目標のロンと申します。
    「会計士×農業」と「会計士×医療」で活躍されている方のインタビュー記事が読みたいです。
    僕も会計士×○○で活躍したいのですが、
    できるだけ会計と疎遠かつ需要がある分野をもう一つの強みとしたいので、上の2つの分野に興味があります。
    農業に関しては、農業会計という専門の会計システムが必要な上に人手が足りてないそうで、かつ札幌事務所の勤務を考えているので、地理的に合っていると思いました。
    医療に関しては、病院経営が注目されているそうで、医療に精通していながら、会計の知識と監査の経験を生かせば、経営に重宝されるだろうと思っています。
    長文になってしまい申し訳ございませんでした。
    記事にしていただけると、非常にうれしいです。

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