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資格と年齢、転職と年齢〜キャリアを作る上での年齢の壁とは〜

2018/02/20

こんにちは。会計士GTRです。

最近監査法人就職や転職における年齢について質問を頂くことが多い。

せっかくなのでこの機会に、仕事をする上での「年齢」というものについて考えてみたいと思う。

 

そもそも「年齢」によって人生何が変わるのかを考えてみる

基本的に人間というのは生まれた時には最も可能性にあふれていて、年齢を重ねるごとにその可能性が減っていくものだと思う。

いや、人間にかぎらずおそらく全ての生物がそうだ。

ここでの可能性とは「選択肢」という意味で使っている。あるいは「ボラティリティ」という言葉に置き換えてもいいかもしれない。

生まれた瞬間はまだ人生がどうなるか全くわからない。

遺伝子的あるいは環境的な限界はあれど、政治家になる可能性も、プロスポーツ選手になる可能性も、普通のサラリーマンになる可能性も、路頭に迷う可能性もある。

中学生ぐらいまではあまり能力の差を極端に意識することはないかもしれないが、大学に入る頃にはある程度の学歴で就職可能な企業のレベルも見えてくる。

30歳ぐらいまでは全く違う業界へも転職できるが、40歳ぐらいになるとだんだんと転職で選べる企業の幅も限られてくる。

このように人間は若い内ほど可能性に溢れている。すなわち選択肢の幅が広い。

「可能性に溢れている」というと良い意味に聞こえるが、逆に言うと人生失敗する可能性にも溢れているわけだ。

だからこそ、自己投資は若い内ほど費用対効果が高く、若い内にした努力の差が蓄積されるとなかなか覆すのが難しい。

 

 

転職市場における年齢

それでは転職において年齢はどういう意味を持つか。

転職はいつまでにすればいいですか?という質問を頂くことも多いが、それは一概には言えない部分もある。

まず意識して欲しいのは、年齢が上がるに連れて基本的に転職市場における価値は低下する。

なので、全く同じ能力を持った25歳と30歳がいれば25歳の方が転職においては有利だ。

転職で若いほうが有利な理由はいくつもあるが

  • 新しいことを吸収する能力は基本的に若い人の方が高い
  • 若い人の方が長く働ける
  • 変なプライドがなく仕事を教えやすい
  • 年上の後輩は先輩や上司からしたらやりやすい

といった点で若い人の方が評価が高くなる。特に最初にあげた2つはまぎれもない事実だ。

では転職は若いうちにするほど有利なのかというと、そんなことはない。

前述した通り「全く同じ能力」なら若いほうが有利だが、通常は年齢が上がるにつれて経験によって能力が向上するからだ。

なので、年齢の部分で自分の価値が下がっても、能力の部分で自分の価値をあげれば問題ない。

重要なのはこの年齢による価値の低下と、経験による価値の向上を比較してプラスになるかマイナスになるかどうかだ。

 

  • 経験値による価値向上>年齢による価値低下

なら市場価値は上がるし

  • 経験値による価値向上<年齢による価値低下

なら市場価値は下がる

後者の状態がずっと続くと、気づいたらどこにも転職できないしがないサラリーマンが誕生してしまうわけだ。

 

若いうちはみんなこの価値の低下をあまり意識しない。

22歳が27歳になっても転職時の価値はそこまで下がらないことに加えて、若手のうちは経験による成長の幅が大きいから、一定の年齢までは総合的な価値は上がることが多いためだ。

一方で27歳から32歳では転職市場における価値はある程度目に見えて下がるから、それなりの経験とそれによる成長をしてないと自分の価値は相対的に下がってしまう。

特に、転職において年齢による価値低下は30〜40ぐらいにかけて大きくなる(※1)のに対し、経験による価値向上は下手すると逓減してしまう(※2)ので、注意が必要だ。

(※1 22歳が27歳になっても大きく価値は下がらないが、27歳が32歳になると突然対象の求人が減ったりする)

(※2 22歳の新人と、23歳の2年目の能力の差はかなり大きい。一方で40歳と41歳では差はほとんどないのは感覚的にもわかると思う)

これをちょっと極端なグラフで示すと、以下のようなイメージになる。(あくまでイメージしやすいように適当に作ったグラフなので根拠はない)

上記のグラフはあくまでイメージであり、この例に当てはまらない場合ももちろんある。

例えばそもそも母集団に限りがある会計士等の独占業務プロフェッショナル系の人材は、需要と供給における供給側に限界があるので、年齢による価値低下の幅が少ない業界と言える。

順調にキャリアアップしていけばむしろ経験による価値向上は加速度的に向上する可能性もある。(経営幹部の経験値はそれ自体が希少性が高く価値が大きかったり)

極一部のトップ層は常に価値が上がり続け常にひっぱりだこなので関係なかったりするが、そういう方はこんなブログを読むまでもないと思うので除外。

 

繰り返しになるがここで言いたいことは、年齢とともに価値は低下し、それを上回るスキルアップをしなければ市場価値は減る一方だということだ。

 

 

適切な転職タイミングとは

以上を前提にすると「いつ頃転職すべきか」という質問には答えようがない部分がある。

今の環境で新しいことにチャレンジできていて、成長している実感があればあなたの価値は上がっているかもしれない。

しかし、いずれにしろ年齢面においては毎年、毎月、毎日、自分の価値は下がっていることを自覚した方がいい。

他人の転職相談にのっていると、この年齢による価値低下の部分を度外視して、いい経験を詰めば転職できると思いこんでいる人が少なくないように思う。

 

なお、私自信の場合は監査法人において入社してからの4年間は、毎年成長を実感できていたが、年々その成長幅は逓減していた気もする。

やはり新人の頃の成長幅は大きかった。あとはインチャージやそれに準ずるポジションでチームのマネジメントに関与したタイミングでは大きな成長実感があった。

そして今ベンチャー企業に入って、監査法人の時よりも明らかに経験することの幅が広く、成長は加速しているんじゃないかと自分では思っている。

(監査という1つの専門分野を深掘りするという意味ではもちろん監査法人の方が成長すると思うが)

 

これからの数年、あるいは数ヶ月、自分は価値の低下以上に成長する仕事ができそうだろうか?

答えがNOで将来転職を考えているなら、急いで行動した方がいい。

終身雇用が前提でない社会において、リスクをとらないことがリスクになる場合は少なくないと思う。

 

年齢と資格

資格取得も基本的には同じ。

資格取得によって価値は上がるが、年齢が上がればその分価値は下がる。

資格には弁護士や会計士等の独占業務を持つものと、簿記やTOEIC等の付加価値をつけるものとに別れる。

(趣味で取るような資格はここでは除く)

 

独占業務系の資格と年齢

独占業務系の資格の大きなメリットは、既存のキャリアの価値を無視ししてステージを大きく上げることができる点。

この価値上昇の幅が人によっては極めて大きいので、数年の月日を費やして年齢による価値低下がおきても、多くの場合は結果的に価値が向上することが多い。

例えば30歳をすぎて会計士資格を取得した場合は以下のようなイメージになる。(あくまでイメージ)

自分の現在の職業における価値が会計士より低いのであれば、既存の業界で頑張るより短期間で一気に価値向上を実現できる可能性がある。

一方で、独占業務系の資格はこれまでのキャリアの価値にアドオンで価値が追加されるわけではなく、従来の業務で得た経験がリセットされてされてしまうというデメリットがあるし、従来のキャリアにおける価値が高ければ逆に会計士になることで価値が下がることもあり得る。

そのためよく「会計士になる価値ありますか?」といった質問を頂くが、その答えは人次第。

単純に給料面だけ見ると、今現在300万稼いでいる人にとっては相対的に魅力的な資格だと思うが、今現在1000万ぐらい稼いでいる人にとっては魅力のない資格だと思う。

また、どんな資格でもそれを取れば全てが保証されるものはおそらくこの世に存在しない。

独占業務系の資格は、それをとっても就職できなければほとんど意味がないので、その資格が自分にとって価値ある資格かどうかはよく考える必要がある。

 

なお、会計士について言えば今は人手不足で売り手市場なので、30代であっても正社員歴が全くないとかでない限りは大手監査法人に入れるケースが多いようだ。

私の周りでも正社員歴あり37歳、正社員歴なし32歳とかは普通にいたので、年齢で無条件に不採用ということはないと思う。

但し、監査法人の採用状況が今後売手市場ではなくなる可能性もあるし、面接である程度評価が高くないと通らない可能性もあり、保証はできない。

 

 

付加価値系の資格

付加価値系の資格は、独占業務系の資格と違ってそれを持っていれば直ちに何かが変わるというものではない。

しかし、上手く使えば自分の既存の価値にプラスαができる。

付加価値系の資格を取る時に気をつけたいのは、本当にそれを取る意味があるかどうか。

私はいわゆる資格コレクター的な発想に対し否定的なのだが、そう言うと「ないよりはあったほうが良いにきまっている」という趣旨の発言をする方がいる。

それはもちろんそうなのだが、前述した通り年齢が進むと転職市場における価値低下がおきる。

資格取得には一定の時間がかかる以上、その資格を取得して一定の価値向上があったとしても、それが年齢による価値低下を上回らなければ全く意味がない。

そりゃ資格はないよりは合ったほうが良い。しかし、資格を持ってない29歳のあなたと、資格を取得した30歳のあなたを比較した時にどっちの価値が高いかで考えなければ意味がないのだ。この点を勘違いしている人が非常に多い。

 

先日こんな記事を目にした。

3カ月更新の契約で17年勤務...そして、突然の「雇い止め」 58歳派遣社員の思いは

記事の内容としては、いわゆる派遣切りの問題を扱ったもの。この記事で一箇所気になる部分があった。

40代までは「自分磨き」に熱心で、資格も10個以上取りました。大学に通うほど時間や金の余裕はないけれど資格試験は頑張れば受かる。自分のスキルを証明するものを手っ取り早く得らえる手段でした。

当時はまだ、自分がスキルアップすれば状況も改善するかもしれないと思っていたのでしょう。働きぶりを認めてくれ、会社に正社員への推薦状を書いてくれた部長もいました。でも、認められませんでした。

不満はありましたが、客観的に自分が置かれた環境の意味を考える段階ではありませんでした。不満はあっても、それを言葉にすることをしてこなかったからです。

派遣切り自体は制度上の問題、企業側の問題、本人の問題等があり、細かい事情は知らないので置いておくが、上記の記載は資格コレクターに陥りがちな人の典型例な気がする。

自分としてはスキルアップのつもりで資格取得に時間を費やし、意味のない資格をたくさん取ってしまう。その資格は世の中では全く評価されず、時間だけ浪費して結果的に自分の価値を下げるだけ、というパターンだ。

特に現状に満足していないのに「客観的に自分が置かれた環境の意味を考えていなかった」という部分については、自己責任な面は少なくないと思う。

自分のキャリアを真剣に考える人であれば自分の置かれた環境を客観的に考えないなんてありえないと思う。むしろそこから全てがスタートするのだ。

 

私自身を含め、会計士等の資格取得で一度成功体験をすると、そこから先のスキルアップも資格を取得することで行おうと考えがちだが、資格取得においては以下の点にはよく注意して欲しい。

  • 独占業務系の資格を除き、本業での経験を上回るほどの価値を持つ資格は多くはない
  • 従って付加価値系の資格はあくまで本業を補うものでしかなく、本業をおろそかにすれば価値向上より価値低下が上回る可能性がある
  • 資格取得は貴重な時間を投資しており、それによって自分の年齢による価値低下はどんどん進んでいることを意識すべき
  • 取得した資格の価値向上が年齢による価値低下を上回らない限り自分の価値は下がる
  • 時間は有限なので、その資格を取得する時間は他に使うこともできる。本業の勉強、読書、人脈の構築等の方が価値向上に繋がらないかをよく考えること

 

なお、これはあくまで転職等におけるスキルアップについての話しで、趣味としての資格取得を批判する気は全く無い。新しいことを学ぶ事自体は素晴らしいことだと思う。

何かを学ぶ上でせっかくだから資格取得をゴールにしてモチベーションをあげるというのも非常に有効だと思う。

私自身もFPの資格取得は人生設計をする上で個人的に役にたったし、業務上労務系の知識が欲しくて社労士資格を調べたことがあった(結論、難易度を考えると時間をかけて取得する意義は薄いと判断してやめた)。

 

 

じゃあこれから何をするか

冒頭でも書いた通り、年齢を重ねるにつれて自分の選べる選択肢・可能性は減っていく。

できることなら自己への投資は早めにした方がいいし、転職するにも資格を取るにも早いうちからタイミングをきちんと考えたほうが良い。

厳しい言い方をすれば、ある程度年齢が言ってしまってから嘆いても「今まで何もしてこなかったあなたが悪い」としか言いようがない。

「学歴で判断する世の中はおかしい」

「苦労して会計士資格とったのに年齢で監査法人に就職できないなんておかしい」

といった趣旨のご意見を頂くこともあるが、全ては自己責任だ。(というか少なくともそれを私に言われても困る)

 

事実として、年齢が上がるとともに選択肢・可能性は減る。

じゃあどうすればいいか。

答えはシンプルで、今持っているものを考慮した上でこれからの人生に集中するしかない。

あなたが30歳だとして、大学時代に戻って人生をやり直すことは残念ながら不可能だ(少なくとも現在の科学技術では)。

過去から学ぶことに意味はあるが、過去を嘆いたり他人や環境のせいにして自分を慰めることは無意味だ。

それで自分の気持ちがおさまるならそれはそれでいいが、状況は何も変わらない。

あなたが変えられるのはこれからの未来しかないのだ。

 

私が日々意識している言葉で「人生今日が一番若い」あるいは「今日より早い日はない」という言葉がある。

過去に戻ってやり直すことができない以上、これからの人生において今が一番若く、何かを始めるにおいては今日始めるのが一番早いのだ。

すなわち、これからの人生において今日が一番可能性・選択肢にあふれているということだ。

人生をより良くしたいのであれば、これからの時間の、自分が変えられる範囲に集中すること。

何歳になっても可能性が無限大とは言えないが、今日の自分が最も可能性にあふれているのだから。

-公認会計士キャリア論


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