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公認会計士は目指すに値する資格か

2017/05/07

こんにちは。公認会計士GTRです。

記念すべき一回目の投稿は「公認会計士は目指すに値する資格かどうか」について書こうと思う。

私も自分の将来を考えた時に、普通に就活すべきか、公認会計士試験を目指すかですごく悩んだ記憶がある。

公認会計士試験は、私の知る限りでは「子供の頃からずっと会計士になりたかった」というような人は少ない。一部親が会計士なので跡をつぐつもりで目指していた人等はいるが、とそれ以外だと私の周りでは会ったことが無い。

わりとみんな、公認会計士になるためのコストと、得られるリターンを測りにかけ、リターンが大きいと考えて目指す人が多いように思う。

苦しい公認会計士試験を乗り越え、監査法人で数年間働いた今、振り返ってみて公認会計士を目指してよかったかどうかについて書きたい。

 

公認会計士の仕事

まず、公認会計士の仕事について説明する。

私は大学生になるまでは公認会計士という資格を知らなかった。一般的な認知度はあまり高くないと思う。

公認会計士は俗に三大国家資格と言われる難関資格で、会計系資格の最高峰と言われる。

(三大国家資格とは、司法試験、公認会計士の2つと、残り1つは医師とか不動産鑑定士等と言われる、難関資格の代名詞的なもの。)

 

公認会計士の主な仕事は「監査」。これは公認会計士及び公認会計士によって構成される監査法人の独占業務として、文字通り会計士にしかできない仕事である。

監査とはどういう仕事かというと、すごく簡単に説明するならば、第三者の立場から会社の成績にお墨付きを与える仕事と言っていいだろう。

通常会社を運営するには、お金が必要であり、会社はお金を銀行から借りたり、株を発行して出資を募ったりする。

では、お金を貸す立場の人や、出資する人は、何を持ってその判断をするかというと、会社の成績や財産の状況を踏まえて判断することになる。

「この会社は毎年利益を出しているから、出資をすれば配当で利益を上げれるな」とか「この会社は資産がたくさんあるからお金を貸しても大丈夫だな」という判断ができるわけだ。

しかし、会社がお金を調達したいために偽りの数値を公表する可能性がある。

そこで、公認会計士が第三者の立場から会社の業績等をチェックして、正しいかどうかのお墨付きを与える。これが公認会計士の仕事である。

 

なお、監査は公認会計士の独占業務ですが、公認会計士は会計のプロフェッショナルとして監査以外にも例えば以下のような仕事をしている人も多い。

  • コンサルティング業務
  • FAS業務
  • 税務(公認会計士は税理士登録が可能なので、税理士として仕事ができる)
  • 一般事業会社の経理
  • 会社役員
  • etc...

 

公認会計士の仕事について詳細は以下の記事にかなり詳しくまとめているので、気になる方はこちらをご覧頂きたい。

  • 公認会計士という資格と試験について徹底解説する

 

 

公認会計士試験の内容

公認会計士試験は、年に2回ある一次試験と、年に1回ある二次試験からなる。

一次試験は短答式試験と呼ばれ、マークシート方式。12月と5月の年2回あり、どちらかに受かれば二次試験に進むことができる。科目は財務会計論、管理会計論、企業法、監査論の4つ。

二次試験は論文式試験と呼ばれ、記述方式。年に一回、8月に試験がある。短答式試験の4科目に租税法、選択科目(経営学、経済学、統計学、民法から1科目を任意選択)を加えた6科目の試験となる。

受験資格は特になく、過去には高校生で合格した人もいるし、毎年高卒合格者も一定数。最年長は60歳前後という方もいる。

一次試験に一度受かると、その後二年間は一次試験が免除され、二次試験を直接受験できる。

(例えば、2015年5月の短答式試験に受かると、2015年8月の論文式試験に進みますが、もしそこで落ちても2016年8月と2017年8月の論文式試験が受けれます)

 

また、会計専門大学院卒業者は一次試験のうち企業法以外の3科目が免除される。

最近(2016年現在)は受験者数が1万人前後、合格者が1千人前後で合格率は10%を少し上回る状況になっている。

受験者の母集団は比較的高学歴な人が多く、その中で10%という合格率は相当厳しい数値といえる。

それでも、合格者が全員高学歴・高スペックかというと、必ずしもそうではない。

合格者の学歴(在学・卒業含む)は慶応が最も多く、次に早稲田。それにマーチとある程度上位の公立大学が続くイメージだ。日東駒専レベルの大学の人もそれなりにいるし、高卒、専門卒の人も毎年一定数いる。

 

私もマーチの中の下位の学部出身なので、決して勉強ができるわけではなかったが、合格した後で「お前って頭良かったんだ」とよく言われた。

司法試験と難易度が同等のように言われることもあるが、原則全員が法科大学院卒の司法試験と比べれば、やはり難易度は一つ下がる気がする。

 

私の感覚的な言い方をすれば「努力すれば絶対受かる試験」とは言えないが、「天才でなくとも死ぬほど努力すれば合格が現実的な試験」という感じだ。

公認会計士の試験についても、以下の記事に詳細にまとめているので、詳しくはこちらをご覧頂きたい。

 

 

公認会計士のコストとリターン

公認会計士になるためのコストと、なれた場合のリターンについて考えてみたい。

公認会計士になるためのコストは、お金、時間・労力である。

これに会計士になれるかどうかというリスクを考慮して考える必要がある。

 

コスト

まずお金については、主な出費は予備校の授業料。

公認会計士試験は司法試験と並んで最難関の国家資格と言われるように、相当の難易度で、独学はまず無理だと思って頂いた方がいい。

独学で受かった人は存在はするのだが、私はこれまで行きてて直接お会いしたことがなく、相当数は少ないと思われる。

現実的な選択肢をするなら資格予備校に入ることが必須となる。

授業料は予備校にもよりますが、大原、TACは70万円前後だったと記憶している。この二校が最大手であり、受験生の大部分はこの二校に通っています。

1年で合格できる人は少なく、2年目以降で合格する人が多いので、実際はそれよりかかる。

2年目は基礎カリキュラムが省略されたコースになることや、ある程度成績の良い人は割引制度もあるので2倍とはならないが、合格までの現実的な費用は100万円程度は必要になると思っておいた方がいい。

 

次に時間。

難関資格ですので、相当の勉強量をこなす必要があります。

合格までの勉強時間は最低3000時間、多くて5000時間などと言われているようだ。

自分が合格した時の総勉強時間は覚えていないが、受験前半年は毎日朝7時に予備校に入り、夜22時まで勉強するといった生活を続けていた記憶があります。

大学生であれば遊ぶ時間を削って勉強しなくてはならないし、社会人であればプライベートな時間は全て勉強に回す必要があります。

 

リスク

上にも書きましたが、公認会計士試験は相当な時間・労力がかかるが、時間・労力をかければ誰もが受かる試験ではない。

合格率は10%であり、受験者の母集団がある程度高学歴の方が多いことを考えると、「努力すれば必ず受かる」試験ではないと思った方がいい。

私も、死ぬほどの努力をして勉強してきた仲間が、何年も受からず諦める姿を数多く見てきた。

この試験は、一次試験の免除期間や科目合格の制度はあるものの、いずれの免除期間も2年の制限があり、短期決戦の試験といえる。

そのため、大学生であれば新卒での一般就職を捨てる覚悟が必要になるし、社会人であれば、本気で合格したい場合には仕事を辞めて受験に専念する人が多い。

しかし、それでも落ちてしまうこともあり(むしろ落ちる人の方が多い)、非常にリスクが大きい試験だ。

 

リターン

では、そうまでして試験を受けるメリットは何なのだろうか。

公認会計士になって得られるリターンは、金と人材価値の向上といえる。

自分の人材価値の上昇は、それにより報酬が増えるという経済的リターンに繋がるものなので、それも金と言ってしまってもいいと思う。

 

では、公認会計士になって得られる給料について具体的に説明する。

公認会計士になると、大部分の人は監査法人に就職するので、監査法人に就職した場合の給料について話す。

 

監査法人は四大監査法人(新日本、トーマツ、あずさ、あらたの4つ。あらたは規模が劣るのであらたを外して三大監査法人と言われることもある)が圧倒的な規模を誇っており、合格者のほとんどは四大監査法人に入る。

数年前は会計士の就職難という時期もあったが、現在は人手不足な状況が続いており、数年間は自分が行きたい法人にほぼ無条件で入れる(2016年11月現在)。

四大のうちあらたはみなし残業代の制度があったり、給与体系が異なるのでもちろん差はあるが、入社数年の給料はどの法人も大きな差はない。

私の法人の場合で言うと、1年目の初任給(手当含む)が月額約30万円。これに賞与と残業代がつく。

賞与は、法人の業績や個人評価によっても変わるが、私が入社してから現在に至るまでの平均では5ヶ月分ぐらいな気がする。これは法人によってけっこう違うようだ。

残業代は、今は私のいる法人はやった分はほぼつけられる。残業時間は人によってかなり差があるが、今は人手不足なので結構多い。

諸々含めると私のスタッフ(入社してから4〜5年目ぐらいまでの職位)時代の平均給与は600万円〜650万円ぐらい。

シニアスタッフ(順調なコースで昇格できれば入社して4〜5年目から、7〜9年目ぐらいまで)の月額は45万弱と大幅に増えるので、年収が800万から多い人で1000万になる人もいる(滅多にいないが)。

その後はマネージャー、シニアマネージャー、パートナーと昇格していきますが、マネージャーは1000万円前後、パートナーは1500万円〜、シニアマネージャーはその間といった感じです。

なお、マネージャーより上は管理職扱いのため基本残業代は出ない。

また、パートナーは個人の成績や役職によってかなり差があり、数千万の人もいます。

この給料を高いと感じるか低いと感じるかはもちろん人によって違うと思うが、私はまあまあ高いかなと思っている。

 

 

まとめ

さて、以上のように、公認会計士になる上では相当のコスト・リスクがある一方で、これまた相当のリターンもある。。これをどう考えるか。

 

私個人の意見を言えば、条件付でリターンがコストを上回っていると思う。条件とは以下。

①特別な能力がなく、普通に考えると会計士並に稼ぐことは難しい
②他に絶対にやりたい仕事がない・会計士の仕事が嫌じゃない
③努力する覚悟がある

 

上記の①について言えば、会計士にならずとも会計士以上に稼げるような方なら、わざわざ会計士になる必要はない気がする。例えば、基本スペックが超高くて外資コンサルや投資銀行に就職してバリバリ働ける人や、営業スキルが高くて成果報酬をバンバン稼げちゃう人。

また、②については、会計士以外に絶対やりたい仕事があるならその仕事をすべきだし、会計や監査がどうしても好きになれないならやめた方が良いだろう。

最後に③については、やはり会計士試験に受かるためには相当の勉強が必要。ただし、極端に勉強が出来ない人で無ければ、2〜3年全力で勉強すれば十分受かる可能性のある試験だと思う。特別に頭が良い必要はないが、数年間は全ての時間を試験のために投じる覚悟が無いならやめた方が良いと思う。

 

以上の3つの条件が当てはまるなら、公認会計士はかなり良い選択肢だと思う。

試験は相当難関ですが、逆に言うと試験に受かりさえすれば誰でもなれる仕事。

答えのある世界なので、普通に就職するよりは努力が結果として現れやすいと思う。

 

私の場合は、大した学歴もなく、大学時代特に強みも無かったので、普通に就職していたら今より全然安い給料で働いていただろうし、生涯年収でみればとんでもない差がある思う。

そういう意味で、公認会計士試験は自分の価値を大幅に上昇させる数少ない手段だった。まさに一発逆転。

また、試験に受かればその地位と収入が保証されているようなものなので、リスクについても特別高いとは感じなかった。

仕事自体は、監査はつまらないなと思うことも多いが、社会的地位も高く重要な仕事でやりがいはあると思う。

何より、監査法人での経験と会計のプロフェッショナルとしての知識を活かせば、転職活躍できる舞台はかなり広い。

 

そんなわけで、個人的には公認会計士という資格は目指すに値する資格だと思う。

なお、もし公認会計士についてさらに詳しく知りたいという方は以下の記事も読んで頂きたい。

 

-公認会計士・公認会計士試験


 comment
  1. しげ より:

    こんにちは。
    この春大学生になったものです。
    私はこれから公認会計士を目指そうと思っているのですが、経済的な事情から、できれば予備校に通わず試験を受けたいなと思っています。
    独学だとやはり難しいのでしょうか。

  2. GTR より:

    しげさん

    個人的には独学は相当厳しいと思います。
    最新の記事に独学について書いてみたので、そちらをご参照下さい!

  3. 太郎 より:

    こんばんわ。35才、フリーターです。これから公認会計士めざそうと思ってますが、年齢的に大丈夫でしょうか?現在の状況だと試験に受かれば就職には困らないと書いてありましたが35才でもそれは関係ありませんか?試験に受かるまではもう少し年をとっていそうですが…

    PS 簿記2級を持っていて、経済的に少し余裕があるのでTACか大原にガッチリ通って受けるつもりです

  4. GTR より:

    太郎さん

    正直かなりギリギリな年齢だと思います。
    30代後半で監査法人に入ってくる人はいるにはいますが、多くはないです。(そもそも合格者自体少ないというのもありますが)
    今は人手不足なのでなんとかなると思いますが、太郎さんが合格までに数年かかるとすれば、その間に就活市場がどうなるかは読めないので、試験に合格したけど監査法人には入れないってこともありえると思います。
    監査経験がなければ30歳後半でも新卒と同じ給料なので、旨味が少ないということもあるので、本当に目指されるかは慎重に決断された方がいいかもしれません。

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