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公認会計士試験に独学で受かることは可能か

2017/05/07


時々、公認会計士試験に独学でも受かることが可能か聞かれます。

確かに公認会計士の専門学校の授業料は高いです。

ですが、私は絶対に独学での勉強はおすすめしません

確かに私も最初は、「専門学校に通うのが当然みたいな空気あるけど、本当に独学じゃ無理なのかな?」と思っていた時期がありました。

しかし、独学での合格者はほとんどいないのには理由があるのです。

そこで今回はこれから公認会計士試験を目指そうと思っている人向けに、独学での勉強が困難である理由(=専門学校・予備校を利用するメリット)について書いてみたいと思います。

 

 

 

勉強効率

公認会計士試験は財務会計論、管理会計論、監査論、企業法、租税法、選択科目(経営学、経済学、統計学、民法から1つ任意選択)の6科目。

どの科目も相当難易度が高く、ボリュームも半端じゃないです。

あまり馴染みのない科目が多く、わかりやすくまとめられた専門学校のテキストを読んでも理解するのが難しいものばかり。

ただでさえとてつもない勉強量で相当時間のかかる試験なので、独学で理解しようとするのは時間の無駄以外の何物でもないです。

時間かけて理解できるのならまだ良い方。論点によってはテキストを見てても一生理解できないものもあるかもしれません。

よっぽどの天才でなければ独学で勉強しても途中で挫折し「最初から専門学校通っとけばよかったな。時間の無駄だった」と思うことになるでしょう。

 

 

この点、各資格の学校は勉強を教えるプロが伝授してくれるので、相当効率的に勉強できます。

わからないところも直接講師に質問して聞けるので、理解できなくて勉強が行き詰まることがありません。

 

 

 

教材

試験が難しいことに加え、そもそも公認会計士試験用の市販教材が少なすぎます。

良い教材がないとかいうレベルはなく、全科目試験範囲を網羅した教材というのがほぼ無いといっていいレベルです。

公認会計士試験の受験者は毎年1万人程度しかおらず、その多くが資格の専門学校に入って勉強します。だから教材を出してもまり売れず、出版社も簿記やTOEICといった人気資格と違って教材を出版するメリットがないのです。

専門学校大手のTACや大原が問題集等を出版していますが、TACや大原はあくまで受講生から授業料を受け取ることを目的としているため、市販されている問題集はそれを補足するものでしかありませんし、受講生向けテキストは受講生しか買えません。

 

 

この点、資格の専門学校が作っているテキストは毎年最新の情報に基づきわかりやすく作られているため、このテキストだけで相当の価値があります。

監査法人に勤務している公認会計士でも「簿記や税金については専門書を見たりするより受験時代の専門学校のテキスト見る方が圧倒的にわかりやすい」と口をそろえて言います。

ネットオークション等で昔のテキストが出回っていたりすることもありますが、次に書きます「制度改正」という観点から、古い教材を使用することはおすすめしません。

 

 

制度改正への対応

公認会計士試験の各科目は、会計の基準や各種法律に縛られています。

そのため、新たな会計基準が発行されたり法律の改正があったりすると、それに対応した勉強をする必要があります。

去年まで正解だったものが、そういった法律の改正で今年は不正解になることもあります。

そういう改正論点は毎年ある程度あります。

独学だとこうした改正論点について、自分で情報収集する必要があります。これは相当大変です。

プロである公認会計士ですら、そうした改正論点をき網羅的に把握し、理解するのに苦労しています。

 

 

資格の専門学校では、そうした改正論点についても最新の動向をきちっとおさえています。

改正があれば新しいテキストが作られたり、テキストのページ差し替えがなされて、常に最新の情報に基づいて勉強ができます。

授業においても「ここが今年変わるところだから、過年度受験生は気を付けるように」といったアドバイスや、「この論点は数年前に改正されたけど、その後一回も試験に出ていないから今年は狙われる可能性高いぞ」といった情報も入ってきます。

最新の改正論点をタイムリーに把握しあれだけわかりやすいテキストにするのは相当すごいと思います。

よく同僚と「改正論点だけをまとめた公認会計士向けの授業やってくれないかな。テキストだけでもいい。」なんて話をしてます。

 

 

アウトプット

公認会計士試験は一次試験である短答式試験と、二次試験である論文式試験の二回の試験に受かる必要があります。

このうち短答式試験はいわゆるマークシート方式ですので、答えがわかっていれば解けます。

一方、論文式試験は文章での解答となります。

そのため、問題の解答が「わかる」だけでなく、それについて文章で「書ける」ことが必要となります。

論文の解答にはおさえるべきポイントがあり、これを外すと自分では完璧に解答したつもりでも全然点がもらえないということがありえます。

これについては独学で勉強するだけではなかなか難しく、アウトプットしてそれを採点してもらうという練習を繰り返す必要があります。

 

 

専門学校では入門期、基礎期、上級期、直前期といった各段階で、レベルにあった試験があり、定期的にアウトプットを鍛えることができます。

この試験のことを「答練」といいます。読んで字のごとく「答える練習」です。

各答練は実際の試験と同じ形で問題を解き、解いてすぐにそれに対する解説がなされます。

「この問題はここがポイントで、これを書く必要がある。」といった解答のポイントが叩き込まれます。

また、自分の解答が模範解答と異なっていても、講師に「こういう解答じゃだめですか?」「この解答どこがダメですか?」ということが聞けるのも専門学校のメリット。

 

環境・仲間

試験勉強は周りの環境を言い訳にすべきでないというのもわかります。

ですが、現実問題周りの環境というのは試験勉強をする上で重要なファクターだと私は思っています。

たまに「半年で試験合格!」というような話も見かけますが、そうした特別な事例を除けば会計士試験は短答を受けるまでに1年は勉強する必要があります。合格者を見ると2年目で合格している人が一番多く、勉強開始から論文が終わる2年半ほどをとにかく勉強に捧げる必要ああります。

その間毎日何時間も勉強するのですから、環境作りはとても大事です。

邪魔されることなく勉強に集中できる空間と、一緒に悩みを共有でき切磋琢磨できる仲間は必須だと思っています。

 

 

専門学校に入ると、メジャーなところはだいたい自習室が自由に使えます。

私も試験勉強始めた頃は大学や自宅やカフェで勉強していましたが、勉強が本格的になって勉強時間が一日7時間を超える頃から専門学校の自習室を利用し始めました。

そして、専門学校の自習室を利用した頃から成績が劇的に向上しました。

専門学校の自習室は朝から晩まで集中して勉強できる環境が整っています。周りは受験生ばかりなので適度な緊張感もあり、サボることがなくなります。

 

 

また、長い受験生活において受験仲間は本当に大事です。

験勉勉強で予備校にこもっていても仲間と他愛もない話をしてリフレッシュできます。

お互い同じ悩みを持つので、勉強方法やいろんなことが相談できますし、何より勉強におけるライバルの存在が自分の成績を伸ばしてくれます。

立地的に予備校に通うのが難しい方はしょうがないですが、予備校に通える人は極力予備校に通学して勉強した方がいいと思います。

「授業ない日はわざわざ予備校に行くと遠いし~」とか「最近自習室行ってないけど家ではちゃんと勉強してるよ~」と言う人もいますが、そういう人はかなり高確率でドロップアウトします。

勉強のスタイルは人それぞれという事は重々承知したうえで、あえて断言します。

一部の例外を除いて、毎日朝から晩まで予備校にこもって勉強してるやつが結局最後には受かります

 

 

 

まとめ

以上の通り、勉強効率、教材、制度改正への対応、アウトプット、環境・仲間といった点で、絶対に専門学校に通うことがおすすめです。

基本的には勉強のやり方は人それぞれで、絶対的な正解はないと思います。

しかし独学で受かることができるかという点については、普通の人には独学で公認会計士試験に受かるのは不可能だと言い切ってしまってもいいと思っています。

ちょうどCPA会計学院の国見先生がこのようなことをツイートされてました。

 

 

確かに、資格の専門学校で公認会計士講座をとると、年間で50万円から100万円程度の出費が必要になります。

多少時間はかかるけど専門学校行かなくても受かるような試験であれば、それぞれの時間的・経済的余裕に応じて独学もありだと思います。

しかし、公認会計士の難易度を考えれば、それは不可欠な出費といえます。

親族に頭下げるなり、奨学金をもらうなり、授業料を払う方法は探せばあると思います。

公認会計士試験に受かって監査法人に入れば、専門学校の授業料分は1~2年で取り返せます。そしてそこから数十年で、当初の自分への投資への何倍何十倍いったリターンが返ってきます。

こんな良い投資案件はどんな金融商品を探してもありません。

結局、多少の出費はあれど確実に試験に合格することこそが大事なのです。そこを忘れないでください。

 

 

なお、公認会計士試験の資格の専門学校は、主に以下のようなものがあります。

資格の学校TAC

資格の大原

東京CPA会計学院

LEC東京リーガルマインド

クレアール

どの専門学校が良いかは一長一短ありますので、次回書きたいと思います。

 

 

 


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 comment
  1. 会計太郎 より:

    国見先生がご自身のアンケートの結果を受けて、「独学合格者はいても年間数人」と結論付けています。しかしアンケートの結果によれば8%は10人以上いると回答しているのだから、それをそのままで受け取れば、「いても」という表現で上限を述べるときに「数人」とはならないはずです。(まあ大量合格世代を除いてという事なのでしょうが。そうだとしても、それが明示的かつ素直な読解で分かるように書かれていまないのが不満です。)正直会計士予備校の講師の文章記述能力や、論理的推論能力がこの程度かと思うと教わるのを不安に思うのですが、会計士予備校の講師一般の能力というのはどの程度のものなのでしょうか?予備校講師の方々の学歴・経歴など含めて実際の様子を教えて頂けないでしょうか?

  2. GTR より:

    会計太郎さん

    確かにアンケートの結果と国見先生のツイートには若干乖離がありますね。
    ただ実態としてはいても年間数人というのは間違っていないような気はします。少なくともここ数年ではほぼ見かけません。
    国見先生の職業柄、できれば独学は困難と結論付けたいというのも、もしかしたらあるかもしれません。

    講師の方の能力というのは、千差万別ですね。特にCPAの先生は私は知らないので答えられません。
    学歴的に、超優秀な方ばかりが集まっているわけではないと思いますが、基本は会計士試験に上位の成績で受かっているので学力は高いと思います。
    あとはやはり人気の先生というのは尊敬出来る方が多いですね。

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