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アカスク(会計専門職大学院)って実際どーなのよ?

2017/06/10

こんにちは。会計士GTRです。

今回はアカスクというテーマで書いてみる。

アカスク進学を検討している人の参考になれば幸いである。

 

会計専門職大学院=アカスクとは?

会計専門職大学院=アカウンティングスクールを略してアカスクと呼ぶ。

大学院なので基本的には大学卒業資格が前提となり、入るために大学院受験をする必要があり、当然学費もかかる。

卒業すると短答式試験の企業法以外の科目が免除され、企業法さえ合格すれば論文式試験を受けることができるようになる。

 

会計専門職大学院のメリット

会計専門職大学院に行くメリットは何か。

それは会計士試験の一次試験である短答式試験の4科目のうち企業法以外の3科目が免除になるということだ。

なぜ企業法だけは受けなければいけないのかよくわからないが、一応一般受験生にも配慮しているということなのだろうか。

さて、短答式試験の企業法以外が免除されるというのは試験においてどれぐらいインパクトがあるのだろうか?

結論から言えば、これは受験においてむちゃくちゃ有利だ。

企業法は比較的点の取りやすい科目で「企業法で稼いで他の科目のマイナスをカバーする」という戦略を取る受験生は多いだろう。

しかも周りの受験生が4科目に学習時間を割いている中で1科目だけに集中して学習できるのだから、はっきり言って企業法のみ受験は実質的に短答免除と言ってもそこまで大げさではない。

しかも会計士試験は論文式試験(二次試験)よりも短答式試験(一次試験)の方が難しいという人は多く、短答式試験は運にも左右されやすく実力がある人でも短答は苦戦することが多い。

その短答式試験が実質免除になるというのはむちゃくちゃ大きなメリットと言える。

 

会計専門職大学院のデメリット

メリットの大きい会計専門職大学院だが、そのデメリットは何だろうか?

最大のデメリットは学費による経済的負担だが、それ以外にもデメリットとして考えられるものについて説明する。

学費

会計専門職大学院の学費は高い。

大学にもよるが年額が100万円台後半のところが多いように思う。

早稲田大学の会計専門職大学院では年額180万円✕2年=360万円がかかる。

なかなかの金額である。

 

最短合格は遠のく可能性が高い

会計専門職大学院に行くと合格までの期間が長くなる可能性が高い。

そもそも会計専門職大学院における短答免除(企業法以外)の恩恵は大学院を卒業して初めて受けられる。

実力のある人は大学院卒業を待つより会計士試験に専念した方が合格は早い。

もちろん大学院在学中も試験は受けられるが、それだとそもそもアカスクのメリットを享受できないし、大学院の授業を受けながら試験勉強をするのは効率も悪い。

 

結局論文は受けないといけない

短答式試験免除(企業法以外)のメリットは大きいものの、短答式試験企業法と論文式試験は受けなくてはならない。

短答企業法はそれほど難しくないが、論文はやはり相当難しい。

短答式試験を受ける必要はないと言っても、短答式試験に受かるレベルの実力がないと結局論文には受からないという可能性もある。

実際問題アカスク卒業生の論文合格率は低く、2016年の試験では全体の論文合格率(論文合格者/論文受験者)は35.1%であったのに対し、アカスク卒業生の合格率は18.1%と非常に低い合格率となっている。

短答式試験を合格した他の論文受験生と戦うには、結局短答式試験に受かるレベルの実力は必要だ。

 

 

 

結論、結局アカスクって行く価値あるの?

あくまで個人的な意見になるが、まず短答で苦戦している人は行く価値があるだろう。

また、短答に受かる実力があっても保険として授業料を払うのが苦じゃない経済的余裕がある人にとっても価値があるだろう。

①経済的負担が360万円

②メリットを享受するまで2年かかり合格時期は遅くなる

③結局論文に受からなければいけない

という3つのデメリットから考えれば、実力がある人は普通に受験した方が経済的にも時間的にも負担が少なく、あまりメリットが活きない。

 

一方で、やはり難易度が高く実力があっても必ずしも短答を突破できない人もいることを考えると、アカスクのメリットはやはり大きいとも言える。

アカスクのメリットは短答式試験の実質免除だということは説明したが、これは言い換えれば本来短期決戦である会計士試験を長期決戦に持ち込めるという言い方ができる。

会計士試験が本来短期決戦というのは税理士試験と比較するとわかりやす税理士試験は毎年1科目ずつ受験することができ、一度合格した科目は永久に合格なので、何年もの月日をかけて長期戦での合格が可能だ(逆に言うと短期合格は困難)。

一方で会計士試験は短答は4科目同時受験で総合的な勉強が必要であり、短答式試験に合格してもその効果は合格した年を含めて2年間しかない。

論文式試験は科目合格制度もあるが、こちらも有効期間がある上、短答式試験の免除が3年間しかないため、結局時間的制約がある。

短答式試験合格後3年以内に論文式試験に合格しないことを三振というが、前述した通り会計士試験は短答式試験こそ難しいという意見も多く、三振するとほとんど「フリダシに戻る」状態であるため、三振した人はかなり多くが試験から撤退してしまう

 

しかし、短答式試験が実質免除であれば会計士試験を長期戦に持ち込める。

受験時代は全然実力無かった友人が働きながら試験を受け続けなんとか合格したとか、あきらめて就職したと思ったら実は毎年論文を受けていて気づいたら合格していた、という例もけっこうある。

自分の周りだとアカスク行ったやつはなんやかんや最終的に会計士になってるやつが多い

前述した通り単純な合格率は一般受験生より低いが、それも計画的に科目合格を取りながら受験しているのが原因ということも考えられる。

なので、アカスクを経由すれば会計士試験を長期戦に持ち込めて、何度でも論文にチャレンジできるので、結果的に合格の可能性がかなり高まると考えられる。

 

会計専門職大学院の問題点

会計専門職大学院の問題というよりは、試験制度の問題なのだが、会計専門職大学院の存在は一般の受験生からすると迷惑とも言える。

どういうことか。

アカスク卒業生は短答式試験の企業法だけ受ければ良いのだが、企業法受験であってもあくまで短答式試験の受験生なので、合格ボーダーは一般受験生と同じとなるし、合格者数調整は企業法受験者を含めて行われていると考えられる。

合格ボーダーラインは合格者数調整によっても左右されるため、全体としては難易度が高くても企業法が簡単であればボーダーラインは下げにくいという可能性がある。例えば、企業法が5点単位の配点なので、ボーダーラインを70%から69%に下げると企業法のみ受験生の合格者数は大きく増えるためそこにはなんとなく壁がある。この壁は同様に65%と64%、60%と59%の間にもあり、難しい問題でも「ボーダーを70%より下にしてしまうと企業法のみ受験の合格者が増えすぎてしまうため70%で止めよう」とかいうことになる可能性がある(あくまで可能性の話だが)。

また、2017年度試験の第一回短答(2016年12月)では、ボーダー71%で全体の平均得点率が51.6%であったのに対し、企業法の平均得点率は60.7%と10%も高く、結果的にアカスク有利だった。

2017年第二回短答においても財務会計で相当な難化が見られ、相対的にアカスク優遇の傾向があるのではないかと感じる一般受験生もいるようだ。

(最もこれについては2016年度試験は企業法合格率が平均より低いため、私個人としては必ずしもアカスク優遇の傾向があるとは言えないと考えている)

 

高い学費を払っている以上、それなりの恩恵を受けるのは当然なのだが、一般の受験生にも影響がある試験制度はいただけない。

いっそのこと短答式試験は全科目免除で良いと思う。中途半端に企業法だけ残すからややこしいことになる。

 

 

まとめ

以上、アカスクについて書いてみた。

受験から5年超が立った現在、当時の受験仲間でまだ受験を続けている人はほとんどおらず、当時から実力のあった受験仲間でも運悪く三振した人はみんな試験から撤退してしまった。

一方で、学生時代短答には受からなかったアカスク卒の友達はなんやかんや勉強を続け、最終的に合格している方が多く、「アカスクって受験生当時思ってたよりずっとメリット大きいかもな」と感じるようになった。

かなり高額な学費負担もあるし、実力がある方であれば結果的に合格までの期間が長くなってしまう可能性もあるので安易に薦めはないが、経済的に余力のある人にはかなり有用な選択肢だとは思う。

 


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 comment
  1. リッター より:

    GTRさん
    答練の記事の件回答ありがとうございました。もうひとつ質問させてください
    僕は12月短答を目指す大学4年生です。
    なので12月短答合格後、来年
    ①無職になるor休学して受験する。
    ・メリット来年の合格にコミットしやすい、
    ・デメリット三振後の修正がきかない
    ②短答合格者採用制度を利用して働きながら受験する
    ・メリット収入が入る、早く実務に就ける
    ・デメリット三振したらクビ、受験勉強長期化する可能性が高い
    ③会計大学院に進学して受験する
    ・メリット三振のリスクを抑えれる
    ・デメリット受験期間の長期化する可能性が高い。
    のどれかを選ばなければなりません。GTRさんはもう一度受験時代に戻るとしたらどれを選びますか?

  2. GTR より:

    リッターさん

    自分ならお金がある程度あるなら①ですね。
    短答合格を前提とするならアカスクにいくメリットは大きくないですし、短期集中で勉強のみに専念し、最短で論文合格を目指します。
    まあこれは、自分が論文合格したから再度合格する自信があって初めて言えるわけですが。
    お金がなくて勉強続ける余裕がないなら②もありだと思いますが、やはりかなり勉強時間は減ると思います。
    ③は、既に短答合格してる人にはおすすめしません。ただリッターさんはまだ短答合格されてないとのことなので、それであれば短答に落ちる可能性も加味してアカスク進むのはありだと思います。経済的余裕があれば。

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