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監査法人日記4〜初めての棚卸・店舗編〜

2016/02/06

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※登場する人物名・組織名は全て仮名です。


 

 

3月31日の夜は店舗の棚卸だ

小売業は1日休むだけで利益への影響が大きいため、閉店後から翌朝開店前、つまり深夜に棚卸が行われることがほとんどだと思う。

倉庫の棚卸からそのまま、後藤先輩と店舗に行くと、店長さんが出迎えてくれた。
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先輩「こんにちは。武呂愚手監査法人の後藤と申します。店舗の棚卸立会で参りました。」

アルバイト「こんにちは、本日はよろしくお願いします。今店長を呼んでくるので少々お待ちください。」

 

 

 

店長「こんばんは、店長の福原と申します。よろしくお願いします。こちらへどうぞ。」

バックヤードへ案内された。

 

 

 

先輩「それでは早速ですが、本日の流れを確認させて頂いてもよろしいですか」

店長「はい。よろしくお願いします。ではまず本日のスケジュールから説明します。間もなく20時になりますと店舗は閉店します。いつもは21時までの営業ですが、本日は棚卸作業があるため閉店時間が早めになっています。閉店後売り場のカウントを開始し、1時までに全体のカウントを行う予定です。」

 

 

先輩「バックヤードにも在庫があると思いますが、そちらはもうカウントは終了していますか?また、商品のカウントはどのように行われるか、簡単にご説明頂けますか?」

店長「はい。バックヤードはもうカウントが終了しているのでいつでもご覧になって頂けます。カウントはアルバイトが一人1台ハンディ端末を持って、商品タグをスキャンしてカウントします。商品リストは紙で印刷はしていませんが、店舗のパソコンから閲覧できます。」

 

 

先輩「ありがとうございます。本日は現金もカウントさせて頂きます。現金は、レジの釣り銭、売上金でよろしいですか?」

店長「それ以外に少額ですが、店舗で消耗品等を購入する時に使用する小口金があります。レジ釣り銭は1レジにつき10万円で、レジが4台あります。売上は本日ですと100万円強あるかと思います。閉店後30分程でレジ締め作業が終わるので、カウントはその後でよろしいですか?」

先輩「はい。ではそれまでの間でバックヤードのテストカウントをさせて頂きます」

 

 

 

バックヤードでテストカウントを終えると、全レジが締まったので現金実査を行う。

GTR「こちらで現金は全てですね?それではカウントさせて頂きます。念のため、店長さんか社員の方に立ち会って頂けますか?現金紛失のトラブル等ないように」

店長「それでは私が立ち会わせて頂きます」

先輩「GTRが数えている間俺は店内のテストカウントしてるから、何かあったら電話くれ」

GTR「わかりました。」

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初めての現金実査。レジの釣り銭と売上現金合わせて150万円程。

ただ現金を数えるだけだが、隣で店長さんが見ているため無駄に緊張する。

電卓打ち間違いも無性に恥ずかしかったのを覚えている。

現金をカウントすると実査票という紙に金額を記載していく。

 

 

 

GTR「はい。確かに金額の一致を確認させて頂きました。現金をお預かりして返却しましたので、こちらの実査表に署名と捺印を頂けますか?後々のトラブル等ないよう、確かに現金をお返ししましたという確認になります。」

店長「わかりました。」

 

 

 

こうして現金実査は完了した。実査表はこんなイメージだ。

実査票
金種 数量 金額
10,000円 67 670,000
5,000円 88 440,000
1,000円 231 231,000
500円 101 50,500
100円 334 33,400
50円 88 4,400
10円 224 2,240
5円 91 455
1円 213 213
合計 1,432,208
 実査担当者  GTR 実査日時 20XX年3月31日
 20XX年3月31日22:30 私は保管する上記現金    1,432,208   円を 武呂愚手監査法人 監査人  GTR  に提示し、全てのものが返還されたことを確認します。
店長  福原 太郎  印

 

 

 

現金実査が終わると私も先輩に合流し売り場のテストカウントに参加した。

 

 

GTR「先輩、実査終わりました。」

先輩「お疲れ。ちゃんと一致した?」

GTR「はい。あんなにたくさんの現金初めて数えました。この後はどうしますか?またテストカウントを続けますか?」

先輩「じゃあGTRは、棚卸カウントの網羅性チェックをしてくれ。具体的な手続きはわかる?」

GTR「すいません、わかんないです」

先輩「棚卸のカウントが網羅的に行われており、かつ二重にカウントされてないことを確かめる必要があるんだ。具体的には、棚の端っこに棚番号が書かれてるだろ?あそこが1番で、2番、3番、4番と続いている。」

GTR「はい。見えます。」

先輩「店舗全体を回って、棚番を全部数える。もし途中で例えば棚自体が無かったり、棚に商品が何も無かったらそれは欠番として控えておく。そして棚番の確認が終わったら、パソコン画面のカウント済みデータを見て、店舗の棚が入力されているかを確かめる。」

GTR「なるほど。もし、棚は100番があるのにパソコンのデータに棚番100がなければ、100番の棚がカウント漏れってことですね」

先輩「そういうこと。逆に、棚番は200までしかないのに、201番の棚でカウントされていたらそれは不正な入力ということになる。」

GTR「わかりました。では網羅性チェックやってきます」

 

 

 

 

GTR「先輩、網羅性チェック終わりました。棚番は1番から350番までありました。101番から120番は商品じゃなくてレシート用紙とかの店舗備品が置いてあるレジカウンターの裏棚だったので欠番です。それ以外は全部商品があり、カウントデータとも一致しました。」

先輩「オッケー。お店のカウントは一通り終わったみたいで、今から帳在差異の原因究明だそうだ。」

 

 

 

店舗全体のカウントが終わったのが1時半。

カウントすると理論在庫と実際カウント数に差異が生じることがあり、この差異の原因究明が行われる。

 

 

 

先輩「帳在差異はどれぐらいですか?」

店長「100点弱の差異がありますね。ロス率で言えば大きくないですが、高額な商品も何点かあるので現在追跡を進めています。」

先輩「差異の発生原因として考えられることは何ですか?」

店長「まずありえるのがカウント漏れですね。カウントは漏れないように行っていますが、人がやる以上どうしても間違いが起こってしまうものなので。あとは、店舗の在庫の入出庫の記録として残らないものとして万引きがあります。こちらも、どうしても一定数は発生してしまいますね。」

先輩「なるほど。この後の流れはどうなりますか?」

店長「全体のカウントが終わったので、みんなで差異の追跡を行います。差異が発生した商品が置いてあるエリアのカウントが正しかったかを確認し、もし発見されたらカウントし直します。差異が大きいまま解消しない場合は追跡作業に時間がかかることもあります」

 

 

 

こうして明け方まで差異の追跡が続き、5時頃全棚卸作業が終了した。

 

 

 

店長「いやーお疲れさまでした。無事棚卸は全て完了しました。」

先輩「ありがとうございました。棚卸作業は問題なく行われているようでした。ご協力ありがとうございました。」

店長「ありがとうございました。始発が動き始めた頃ですね。今日は1日お休みですか?」

GTR「いやーそれが、この後本部の現金実査で御社に伺わなくてはならないんですよ。」

店長「そーなんですか!それは大変ですね。お体気をつけて下さい。」

先輩「まあひとまず帰って寝ようと思います。皆様もお疲れさまでした。」

 

 

 

こうして店舗の棚卸立会が終わった。

日付変わって4月1日。

午後から本社の現金実査があるが、ひとまず帰宅して寝ることにした。

 

 

 

 

続く。

-体験記-監査法人日記


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