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監査法人日記5〜初めての実査・確認状発送〜

2016/02/05

 

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※登場する人物名・組織名は全て仮名です。


 

 

 

 

夜通し棚卸を行った後、家に帰って爆睡し昼からクライアント先に往査した。

この日の目的は確認状の発送と現金実査。

確認状の発送は銀行と証券会社への確認状。

 

 

 

本社前で後藤先輩と待ち合わせ。

本社に行くのがこれが初めてだったので、結構緊張した。

先輩から経理の担当者を紹介され、まずは現金実査。

今は全部ネットバンキングで支払いが出来るし、あまり本社で現金を持つ必要はないから本社の現金は少ない。

受験時代に勘定科目でよく目にした手形も、今は電子記録債権・債務があったりしてあまり現物を見ることはない。

有価証券も上場株式は電子化されているので実査対象となるものはほとんどない。

そんなわけで本社の現金実査はあっさりと終わった。

 

 

 

 

その後は確認状の発送作業だ。

確認状は今回は銀行と証券会社に対するものだけ。

売上債権や仕入債務などは、相手先も多く全部には送れないのでサンプリングする必要がある。

しかし会社の数字は月末にいきなり確定するわけではなく、月次決算を締めなければ金額が固まらない。

金額が固まらなければサンプリングもできないため、発送できないのだ。

一方で銀行や証券会社に対する確認状は基本的に全件発送するため、期末日が来たらすぐ送る。

 

 

 

そんなわけで売上債権、仕入債務は後日発送とし、この日は銀行と証券会社。

事前に会社には確認状を渡し、確認状を作成してもらっており、この日受け取って内容に不備がないかを確認して、監査人が自ら発送する。

銀行確認状と証券会社確認状は専用の様式がある。法人によって多少の違いはあるが、こちらの様式を参考にするといいだろう。

 

 

 

銀行確認状について先輩からレクチャーを受けた。

先輩「会社に依頼してた銀行確認状と証券会社確認状が出来たみたいだから、内容チェックして発送しよう。」

GTR「はい。内容のチェックは、何を確認すればいいんですか?」

先輩「そう言うと思って、チェックポイントにマーカーを引いてやったよ。」

スクリーンショット 2016-02-04 2.02.02

先輩「まずは①だけど、ここに会社の住所、会社名、代表者名を書いてもらう。ここの会社は何年も監査やってるからまず間違えないと思うけど、ここが間違ってると銀行は返してくれないから注意して。よくあるのが、代表者を『代表取締役社長〇〇』で登録してるのに『代表取締役○○』としか書かなくて返してもらえなかったりとか。慣れてない会社だと時々あるから。」

先輩「それから②だけど、必ず届出印で押印をすること。通常の社印とは違う印で登録してて、『印鑑が違う』って言って返送されてくることがわりとある。」

先輩「あとは基本的なことだけど、③の確認基準日が期末日になっているかを確認して、④の返送期限を記載する。また発送日から二週間ぐらい空けとけば大丈夫だろう。あと、⑤の当座勘定照合表は、当座預金がある時に、期間を指定するとその期間の入出金情報をくれるから書いておくこと。要は期末日付近での不信な入出金がないかを確認するものだな。」

 

 

 

GTR「ありがとうございます!じゃあそこの記入漏れとかないかチェックします。」

先輩「それから、銀行確認状は記載する箇所が多いから、回答されてくる時に記入漏れがないよう、忘れやすい箇所にマーカーを引いとくといい。確認状の一番後ろを見てみろ」
スクリーンショット 2016-02-04 2.31.39

先輩「マーカー引いた二箇所、『該当のない箇所は該当ない旨を明示してくれ』ってとこと、『他になんかあればその他の箇所に書いてくれ』ってとこが大事。銀行確認状って、借入金とかの債務も対象になるだろ?債務は網羅性が重要なアサーションだからさ、該当ないってことをきちんと書いてもらわないとダメなのよ。だから、記入漏れの項目があると再発送しなきゃいけなくてめんどくさいから、最初に送る時にマーカーを引いとくの。」

GTR「銀行がそんな書き忘れとかしてくることあるんですか?」

先輩「あるある。結構ある。特にマイナーな地銀に多いかな。とにかく、確認状ってのは一刻も早く全部回収したいのよ。回収できなくて銀行残高わかりませんなんてなったら笑えないだろ?再発送するとさらに数日かかるしね。」

GTR「わかりました!」

 

 

 

先輩と分担して確認状の記載内容に間違いがないかをチェックした。

GTR「大丈夫そうですね。」

先輩「様式以外にも注意することがあるんだけど、何かわかる?」

GTR「え、何だろ。すいません、わかんないっす。」

先輩「銀行確認状は、基本全件発送するように計画してるから、銀行に漏れがないか注意すること。」

GTR「ああ、そういうことですね。」

先輩「前期から新たに口座開設してたりすることもあるから、ちゃんと会社担当者にこれで全部か確認すること。それから、取引が無い銀行でも口座解約してなければ必ず確認状発送すること。『この口座はもう使ってません』て口で言われても、実はすごい借金があるなんてこともなくは無いからね。」

GTR「わかりました。気をつけます。」

 

 

 

こうして無事確認状の発送作業は完了した。

確認状は、状況を把握するためにエクセルでコントロールシートという表を作り、そこにいつ発送して、いつ回収したという情報を記録する。

期限までに回収ができていない確認状は会社を通じて先方に督促をし、なるべく早く全件回収するのが新人の重要な仕事だ。

未回収の確認状がたくさんあると、会社の人に依頼して嫌な顔されるから、ついつい後回しにしがちだ。

しかし、監査意見を出す直前で回収できてない確認状があることが発覚し大騒ぎ、なんてこともあるから、確認状のコントロールはとても大切だ。

 

 

 

みんな新人で最初に任される仕事だと思う。

新人に「そういえば確認状どうなってる?」って聞いて

「期限が来てて未回収なのが5件あります。期限来ているものは全て会社に督促してもらってます。」

って答えが返ってくると、かなりできる新人だなと感じる。

逆に「すいません、一昨日期限来たんですけど、まだ督促してませんでした。」

っていうやつは、「こいつは嫌なことを後回しにするやつだな」って感じがするのだ。

新人の評価の上での一つのバロメーターとなるものなので、しっかりとやった方がいい。

それだけで最初の評価を左右すると言っても過言ではないだろう。

 

 

 

続く。

-体験記-監査法人日記


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