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監査法人日記8〜監査手続「現金」〜

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※登場する人物名・組織名は全て仮名です。


 

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2月1日に入社して2ヶ月半、4月中盤からいよいよクライアント先へ往査しての本格的な期末監査がスタートした。

監査は4月半ばからスタートして、早いジョブであれば4月中に、遅いジョブだと5月半ばの会社法監査意見の期限ギリギリまで続くことになるため、長くて一ヶ月という感じだ。

 

 

 

さて、期末監査の進め方を整理してみる。

もちろんチームの進め方やクライアントの規模によって変わるが、私の行っていた会社を例にみると、監査は大きく三つの段階に分けることができる。

①現預金、売上等の個別勘定科目を監査し試算表までを固める段階

②各社の試算表から連結財務諸表、連結CF計算書の作成までを行う段階

③注記の内容を検証し、会社法計算書類や有価証券報告書等の開示書類を監査する

という感じだ。

 

 

 

当時に遡るのも面倒なので2016年のカレンダーで監査スケジュール表を作るとこんな感じになる。

備考
4/1 2 3
実査
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
現場入り 出勤
18 19 20 21 22 23 24
この日までに個別勘定科目を終わらせること。 出勤
個別勘定科目主任レビュー
25 26 27 28 29 30 5/1
・連結開始 出勤 出勤
2 3 4 5 6 7 8
開示書類チェック開始 出勤 3〜5は進捗状況に応じて休むか出るか判断します。
9 10 11 12 13 14 15
審査&会社法意見日

 

 

 

そんなわけでまずは個別勘定科目の監査だ。

勘定科目はそれぞれ担当者が割り当てられ、各担当者が監査結果をまとめた調書を作成し、主任が各担当者の調書をレビューするという流れだ。

割当表のイメージはこんな感じ。

表の一番上に監査チームメンバーが書いてあり、横に勘定科目が書いてある。表の中の数字は割当を終わらせる時間の目安。下の表だとGTRは現預金を14時間、借入金を14時間、純資産を7時間、販管費を14時間で終わらせなくてはならない。

リスク 主任 SS A先輩 SS B先輩 S C先輩 後藤先輩 GTR
資産
現預金 14
有価証券 SR 14
売上債権 7
棚卸資産 SR 14
その他流動資産 7
有形固定資産 SR 14
無形固定資産 10
投資その他の資産 7
負債
仕入債務 7
その他の流動資産 7
借入金 14
その他の流動負債 7
純資産
純資産 7
損益
売上高 SR 25
売上原価 10
販管費 14
営業外損益 7
特別損益 7
税金・税効果 14
調書レビュー 20
合計 45 24 31 35 42 49

 

 

 

そんなわけで私の割当のうち、最初に現預金に手をつけた。

現預金はもっとも簡単な科目の一つで、一年生が最初に担当することになる。

何が簡単かというと、現預金は実際に現金を見て数えるか、銀行に確認状を送り確かめるかしか検証手段はなく、必ず期末日の残高を確認できるからだ。

では、具体的な手続きの進め方を見てみよう。

 

 

 

GTR「試算表によるとニコニコマーケットは現金が214,553,451円、預金が991,243,431円あるな。さて、どうやって検証するんだっけな。」

GTR「現金は店舗の持つ釣り銭が中心で、預金は本社で管理してる銀行の普通預金だったな。まずは現金からやろう。現金は統計的サンプリングで事前に抽出した店舗を対象に現金実査をしているから、実査金額と一致を確認した上で、現金増減分析をして、全体の現預金の推移に異常がないかを確認しよう。」

 

 

・・・

 

 

・・・

 

 

調書ができた。

 


監査調書・現金

  • 手続:現金実査による詳細テスト
  • 結論:重要な虚偽表示がないことについて十分かつ適切な監査証拠を得た
  • 単位:円
前期 当期 増減 増減率 コメント
本社現金 332,553 553,451 220,898 66%
東京店 200,000 200,000 0 0%
新宿店 400,000 500,000 100,000 25%
池袋店 300,000 300,000 0 0%
渋谷A店 400,000 400,000 0 0%
渋谷B店 0 200,000 200,000 #DIV/0! 冬季の新店
上記以外 187,200,000 212,400,000 25,200,000 13% 店舗増加が原因
合計 188,832,553 214,553,451 25,720,898 14%

店舗数の増加によって現金は増加傾向である。
についてはサンプル対象の現金実査店舗であり、現金実査残高との金額一致を確認している。
異常により現金の実在性、網羅性のアサーションについて、十分かつ適切な監査証拠が得られたと判断する。


 

 

 

GTR「こんな感じでいいのかな、主任にレビューをお願いして、問題点がないか見てもらおう。」

GTR「主任、現金調書を作成したのですが、レビューして頂けますか」

主任「よしわかった。ちょっと待ってて」

 

 

 

主任「なるほどね。いくつか聞いていい?」

GTR「はい」

主任「まず、全体の増減についてだけど、店舗数の増加で現金が増えてるのはわかるんだけど、店舗数の増加を踏まえて定量的に分析してくれる?今のままだと現金の増加が合理的かどうかよくわかんないよね?」

GTR「わかりました。やってみます。」

主任「それから、本社現金と新宿店で現金が増えてるみたいだけどなんで?」

GTR「あ、えーっと、すいませんわかりません」

主任「基本店舗の現金は変動しないはずだから、店舗別の現金の推移で変動があれば会社に質問してちゃんと内容把握しといて。あと、細かい話だけど、単位は円単位だと見づらいから千円単位で表示して。それから誤字がいくつかあるから修正しといて」

GTR「はいわかりました。」

 

 

 

・・・

 

 

・・・

 

 

主任に指摘された点を修正して調書完成。

ひとまずこれでOKをもらえた。

完成した調書はこんな感じ。

 


監査調書・現金

  • 手続:現金実査による詳細テスト
  • 結論:重要な虚偽表示がないことについて十分かつ適切な監査証拠を得た
  • 単位:千円
前期 当期 増減 増減率 コメント
本社現金 332 553 220 66%  4/1入社式において新入社員へ交通費を支給するための現金を保有している。前期は事後精算だったため少ないが、冬季から当日支給となっている。
東京店 200 200 0 0%
新宿店 400 500 100 25%  増床によりレジが一台増加しており増加
池袋店 300 300 0 0%
渋谷A店 400 400 0 0%
渋谷B店 0 200 200 #DIV/0! 当期の新店
上記以外 187,200 212,400 25,200 13% 店舗増加が原因
合計 188,832 214,553 25,720 14%

期末店舗数が630から700へ11%増加したことが要因である。ニコニコマーケットは1店舗につきレジ3台が平均で、1レジは10万と決まっている。期末店舗数に基づく一店舗あたり現金残高は305千円であり、異常なし。
についてはサンプル対象の現金実査店舗であり、現金実査残高との金額一致を確認している。
以上により現金の実在性、網羅性のアサーションについて、十分かつ適切な監査証拠が得られたと判断する。


 

 

現金が終わったので次は預金。

 

 

 

つづく。

 

 

この記事は・・・

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 comment
  1. GTR より:

    すいません、スマホからだと表が超見づらいですね。なんか考えます。

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