こんにちは会計士GTRです。
今回は公認会計士試験の難易度と合格までに必要な期間、時間について考えてみる。
難関資格と言われるが、実際どのぐらい難しいのか、可能な限り定量的に分析してみた。
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合格者の平均年齢とは
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
最高年齢 | 59 | 57 | 67 | 67 | 67 |
最低年齢 | 18 | 19 | 17 | 19 | 19 |
平均年齢 | 26.6 | 26.2 | 26.8 | 27.1 | 26.2 |
出典:公認会計士監査審査会HP
平均年齢は26〜27歳付近で推移しており、大きく変化はない。
なお、少し数字が古いが2010年に金融庁が取ったアンケートを見るとまた少し違った数字が見えてくる。
出典:http://www.fsa.go.jp/singi/kaikeisi/siryou/20100219/01.pdf
合格者の平均年齢は26〜27歳だが、中央値は22歳。21〜22歳(おそらく大学3〜4年生)で全体の合格者の23%を占めており、24歳以降は徐々に数が減少していっている。
合格率の推移と内訳
全体推移
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
受験者数(願書提出) | 17,794 | 13,224 | 10,870 | 10,180 | 10,256 |
合格者 | 1,347 | 1,178 | 1,102 | 1,051 | 1,108 |
合格率 | 7.57% | 8.91% | 10.14% | 10.32% | 10.80% |
出典:公認会計士監査審査会HP
近年受講生が大幅に減少していたが2015年で一旦下げ止まっている。
合格率は上昇傾向にあり、直近3年間は10%を超えている(グラフが0%スタートでなく変動が大きく見えてしまうのはgoogleスプレッドシートの仕様)
なお、願書提出者に対して受験を辞めてしまう人は毎年2%前後いる。
合格率 年齢別内訳推移
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
20歳未満 | 4.03% | 6.16% | 9.76% | 8.66% | 7.74% |
20〜24 | 9.06% | 13.76% | 16.03% | 14.78% | 16.90% |
25〜29 | 9.53% | 10.46% | 10.85% | 12.03% | 11.33% |
30〜34 | 6.70% | 6.84% | 8.47% | 8.36% | 8.55% |
35〜39 | 2.21% | 2.85% | 6.40% | 7.26% | 5.52% |
40以上 | 3.06% | 2.11% | 2.48% | 3.35% | 3.16% |
平均 | 7.53% | 8.91% | 10.14% | 10.32% | 10.80% |
出典:公認会計士監査審査会HPをもとに当サイトで算出
こうしてみると年代別に合格率には明らかに差があることがわかる。
最も合格率が高いのは20代前半で直近で16.9%、これは学生や資格浪人をしている人が多いことが理由と考えられる。とするならば、仕事をせず受験勉強に集中できる環境があれば合格率は15%を超え20%に近づいているという見方ができるかもしれない。
合格率 学歴別内訳推移
2012年 | 2013年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | |
大学院卒 | 4.81% | 5.91% | 5.87% | 6.51% | 5.97% |
アカスク卒 | 7.42% | 6.59% | 8.77% | 8.06% | 10.98% |
大学卒 | 8.02% | 8.29% | 9.33% | 9.96% | 9.29% |
大学院在学 | 7.77% | 9.56% | 10.75% | 8.70% | 15.29% |
アカスク在学 | 8.89% | 15.88% | 21.08% | 18.83% | 16.79% |
大学在学 | 7.96% | 13.26% | 15.11% | 13.84% | 16.17% |
高卒 | 5.42% | 5.55% | 6.37% | 6.68% | 6.87% |
その他 | 6.65% | 7.55% | 8.18% | 12.24% | 7.06% |
平均 | 7.57% | 8.91% | 10.14% | 10.32% | 10.80% |
出典:公認会計士監査審査会HPをもとに当サイトで算出
こうしてみると、興味深い点がいくつかある。
まず、やはり学生(大学院在学、アカスク在学、大学在学)の合格率が高い。
大学在学と大学院在学の合格率は上昇傾向にあるのに対し、アカスク在学の合格率は直近2年は下落傾向にあるのも面白い。
また、大学院卒と高卒の合格率がほぼ同じなのも面白い。
また、短答試験が免除されるのでアカスク卒は合格率が高くなるかと思いきや、全くそんなことはなくむしろ平均より低い。
アカスクに進んだ優秀な人は在学中に合格してしまい、アカスクを卒業した人は論文にかなり苦戦しているということが言えそうだ。
大学別合格者数
慶應義塾 | 早稲田 | 中央 | 明治 | 東京 | 同志社 | 立命館 | 関西学院 | 法政 | 神戸 | |
2012年 | 161 | 109 | 99 | 63 | 28 | 49 | 30 | ? | 38 | 29 |
2013年 | 121 | 93 | 77 | 68 | 33 | 49 | 26 | 32 | ? | 36 |
2014年 | 120 | 94 | 87 | 69 | ? | 43 | 29 | ? | 27 | 27 |
2015年 | 123 | 91 | 64 | 56 | 23 | 33 | 20 | 28 | ? | 28 |
2016年 | 139 | 96 | 96 | 72 | 36 | 33 | 29 | 27 | 27 | 26 |
出典:公認会計士三田会をもとに2016年合格TOP10の過去の数値を加筆
直近5年間のTOP4は慶應、早稲田、中央、明治の順で固定化されている。それ以降も高学歴な大学が続く。
慶應の合格者シェアは10%超を維持しており、42年間連続で首位をキープしているとのこと。
受験生数もある程度多いとは思うが、慶應が飛び抜けて受験生が多いということはなさそうそうなので、やはり合格率が高いということだと思う。
前述した通り大学生の合格率は15%程度なので、トップを入る慶應の合格率はその倍ぐらいあってもおかしくなさそうだ。
感覚的には学歴の平均はMARCHや関関同立あたりになるのかもしれない。
合格までの平均年数
合格までの平均年数は2年とか3年とか言われるが、実際はどうなのか。
少し古い数字にはなるが、2010年に金融庁が取ったアンケートの結果があるので見てみたい。
短答合格までの期間
出典:http://www.fsa.go.jp/singi/kaikeisi/siryou/20100219/01.pdf
短答合格までの期間は平均2.3年。中央値(ピーク)は2年となっており、7割近い人が2年以内に合格している。
短答合格後〜論文合格までの期間
出典:http://www.fsa.go.jp/singi/kaikeisi/siryou/20100219/01.pdf
短答合格から論文合格までの平均期間は0.9年で約1年。但し中央値(ピーク)は0年で、45%の人は短答合格した年に論文合格している。さらに37%の人は翌年に受かる。
最終合格までの平均期間
以上から、合格までの平均期間は2.3年+0.9年で3.2年ということになる。
なお、合格までの期間の中央値(ピーク)は2年ということになる。
合格までの必要勉強時間
公認会計士の合格までに必要な学習時間は3000時間〜5000時間などと言われるが実態はどうだろうか。
上記の合格までにかかった期間から推定してみたい。
最終合格までにかかる平均年数は3.2年であったが、これには色々なステータスの人が含まれるので計算が複雑になる。
そこでこれを在学中合格者だけに限定すると平均2.3年(短答まで1.9年、短答後論文まで0.4年)であったので、在学中合格者の平均期間を使って算出する。
学生受験生の1日の勉強時間はどれぐらいだろうか。これは具体的統計はないので推定するしかない。
仮に1日8時間(授業等も含む)で週5日勉強したとすると週に40時間(あるいは平日4時間と土日10時間でも週40時間となる)。年間で2,080時間。これを2.3年続けたとすると4,784時間かかることになる。
あくまで推定ではあるが、合格までにかかる時間は5000時間に近い数字になりそうだ。
まとめ
以上、公認会計士試験の難易度を定量化してみた。
少しでも参考になれば幸いである。
4,160時間というのはどういう計算で出されたものですか?