※登場する人物名・組織名は全て仮名です。
入社して最初の期末。序盤はそこそこ順調に進んだ。
1年目のため割当科目もそこまで重くないので、割当時間内に調書を仕上げてレビューにまわす。レビューで着いたメモもそこまで重くなかった。
しかし個別の科目が終わって連結財務諸表の検討に入ったあたりで突然作業の進捗が悪くなった。
会社の人と話しても、何を言っているのかよく理解できず、話が進まない。
自分の理解力がないのかと思い、それ以上つっこんで質問できず、自分で考えながら作業をしていたらやたらと時間がかかってしまった。
今でこそ、あれは会社の人が全然連結の仕組みを理解していなかったんだなとわかるが、当時は会社の人が自信満々に言うものだから、自分が間違っているような気がしてしまった。
監査をして思うのは、とにかく聞くことが大事だということ。
わからないことは先輩に聞く。納得できるまでとことん聞く。しつこく聞く。
聞いて理解できないと、なんとなく自分が理解力がないような気がして、ちゃんとわかってないのに「わかりました」って言っちゃうことがある。
しかし、話して理解できなければあきらめずに聞き続けた方がいい。
最初のうちはクライアントに質問するにも勇気がいる。
相手が経理課長・経理部長といった自分より全然偉い人の場合は、特にそうだ。
なるべくなら質問せずに済ませたいと思ってしまうかもしれないが、そこで引き下がらず質問できるかがとても大事だと思う。
さて、話は少しそれたが、そんな感じで連結で行き詰まり作業の進捗が悪くなる。
すると上司からは遅すぎるとプレッシャーをかけられ厳しいことも言われる。
「なんでまで終わらないの?今週何してた?」
「これ終わらなかったらどうすんの?監査意見出せないよ?」
「全然ダメだよこの調書。ちゃんと話聞いてた?」
「なんでこんなことも出来ないの?」
「明日までに終わらせてよ」
当時の主任は監査法人の中でも相当厳しい人だった。その後いろんな人と働いてみてあの主任が特別厳しかったんだとわかったが、当時はこんなに怒られるなんて自分が相当できてないんじゃないかと自分を責めた。
また、こうやって叱られて、焦りながら仕事をするのはかなりツラい。
新人のうちはよくわからず仕事をしてると1日中考えてるだけで全然作業が進まなくなってしまうことも結構ある。
焦りながら夜睡眠時間を削って作業するも、終わらない。
出社するのも憂鬱になる。
なんやかんやで3月決算の会社の監査が終わったのがGW明け。
なんとか終わらせたものの「こんなツラい時期が毎年あるのか」と思い、心が折れそうだった。
GWで周りの友達は旅行に行ったり遊んだり楽しそうな写真をSNSにあげてる。
それを見ながら会社に向かい、ふと周りを見渡すと青い空と立ち並ぶビル郡の中にポツンといる自分がすごく小さく思えた。
空を見上げて、なんでこんな思いしてまで働かなかきゃいけなんだろうと思ったのを覚えている。
まさに五月病といった感じだ。
しかしこれも新人の試練である。最初はツラいが誰しもが通る道なので頑張って欲しい。
監査法人に入って、いつが1番きつかったかと聞かれると、瞬間風速的には色々あるが、期間で見ると1年目が1番つらかったように思う。
入ったばかりでまだチームメンバーに対しても緊張感があるし、対クライアントに対してもコミュニケーションに慣れていない。
仕事の進め方もわからないので、自分が今遅れてるのどうかわからない。
仕事は終わらないし、たくさん叱られるので自分だけがすごくデキの悪いやつだと思ってしまうかもしれない。
しかし、新人てそんなもんなのだ。
だいたいみんな同じことで悩むが、決して自分だけじゃないので安心して欲しい。
反省しないのは良くないが、ある程度反省したら開き直ってしまおう。怒られるのが新人の仕事なのだ。
今上の立場に立って思うが、怒る方も新人を育てようと色々考えて怒っている。
ちゃんと怒ってくれる先輩・上司は貴重だと思った方がいい。本当に見捨てられると怒ってもくれなくなるので、怒られてるうちが花だと思って頑張って欲しい。
つづく
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